結婚式は非日常の特別な時間であり、場所でもあります。高齢になると日常とは違うリズムから、突然体調不良になるなど、病気を発症することもあります。緊急時には、その場にいる式場スタッフにも何らかの対応が必要になることも。対応や判断が遅れると、その方の命にかかわることもありますので、しっかり様子を確認しましょう。
今回は、高齢者に多く、特に要注意な病気を何個か挙げてみます。
もちろん、高齢者だけでなく、若い人でも発症する可能性はあるので、「声をかけても返事をしない」「何かを言おうとしても聞き取れない」「表情がおかしい」と気づいたら、すぐ家族に伝えてください。
脳の血管が詰まる、破れるのが脳卒中で、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のことです。その中で4分の3を占めるのが脳梗塞です。
長嶋茂雄さんや西城秀樹さんなど、多くの有名人も発症している非常に起こりやすい病気です。
脳梗塞の多くは、血栓(血の塊)が突然血管をふさぐことで起きます。ほんの今まで話していたり、動いていても突然に起こります。脳梗塞の特徴的な症状は、「ろれつが回らない」「言葉が出にくくなる」「唇や顔の片側が動かなくなる」「片方の手や足が上がらない」などです。
脳梗塞か?と思ったら、一刻も早く医師に連絡してください。
また、脳梗塞の後遺症(片側に麻痺が残っている)を持っている高齢者は非常に多いです。軽い方だと、一人で生活できますし、片麻痺の方でも、お手洗いや食事のサポートをすれば、結婚式にも参加できます。ただし、完治した人の20~30%は3年以内に再発すると言われています。
つまり、いつまた、突然に発症するかわからないということを覚えておきましょう。
血栓が心臓の血管に詰まると心筋梗塞になります。
特に冬場の早朝、外と中の気温差が激しい時に起こりやすくなります。
寒い日に歩いて入館した時や、ガーデンでのイベント前後などは要注意です。
また、披露宴でスピーチを控えているゲストは、ストレスや緊張感を抱えていることも。さらに、当然飲酒の機会もあります。
プレッシャーや飲酒で脈が速くなり、血圧が急上昇しやすくなります。様子が変、顔色が悪いなど、異変を感じたら、早めに声かけや対応をしましょう。
狭心症や心筋梗塞は、胸に重苦しい強い痛みを感じます。あごやみぞおち、肩や背中や首が痛いこともあり、冷や汗、吐き気を伴うこともあります。心筋梗塞の場合には、直ちに救急車を呼んでください。
日本の糖尿病患者は1000万人を超えます。70歳以上の男性23%、女性16%が糖尿病患者と言われています。糖尿病の方は、食事や薬で毎日血糖値をコントロールしていますが、薬の作用で低血糖になる場合があります。
結婚式では、普段とは違う食事内容や時間になることから、低血糖になる可能性も。特に飲酒は要注意です。
低血糖状態になると、顔が青白くなり、手や指が震えだし、生あくびが増えて、ふら~と倒れることもあります。重度になると痙攣を起こし、昏睡状態になってしまうので、できるだけ早い段階で対応してください。意識があれば応急処置で砂糖を口に含ませてください。
持病でパーキンソン病を持っている方が増えてきています。高齢者に多い病気ですが、若い方でも発症します。パーキンソン病はゆっくり進行する病気で、結婚式にも多くの方が出席されています。緊張する場面になると、手が震えてグラスを落とすほか、立上りや歩行の時にバランスをくずし、転倒する恐れがあります。また食事の時に上手に飲み込めず、喉に詰まることもあります。
一日のうちでも症状の重さが変わる場合があり、朝はスムーズに動いていたのに、夕方には動けなくなることもあります。非常に事故を起こしやすい病気の一つなので、移動や食事の時はしっかり情報を共有しながら様子を確認しましょう。
これらの病気や症状は、風邪やインフルエンザと違って、どれも突然起き、そして重篤になります。さっきまで、元気だった人に起こることなのです。
だからこそ、式場スタッフの的確な判断や対応が非常に重要になってきます。
介護の必要な大切なご家族と
結婚式の喜びを分かち合うお手伝いをいたします。