教えて!カイゴ (for wedding)

ブライダル産業新聞 コラム第11回 神社での適切な高齢者対応とは

2018.08.21

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介護の視点から見るいい結婚式の作り方
連載

神社での結婚式の注意点

連載第11回目の今回は、神社での高齢ゲストの注意点をお伝えします。

神社の特徴は、ホテルや専門式場のようにバリアフリー設備が整っていないケースが多いことです。また、建物の中で完結するホテルや式場と違って、屋外での移動や行事があります。車椅子や高齢の方が出席するときには、色々な注意が必要です。

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玉砂利道を進むときの注意

砂利道は歩くのに負担がとてもかかります。高齢者には多少遠くても迂回ルートを勧めましょう。砂利道を高齢者が歩く場合は、介助が必要です。支えがあるだけでも足に力が入りやすく、安心感が違います。バランスを崩した時もすぐに支えることが出来ます。

高齢者は杖を使う方も多いですが、平らな道では便利な杖も、ガタガタした道や沈み込みのある砂利道では、かえって危険。杖は使わずに、他の方にサポートしてもらってください。さらに玉砂利道で車椅子を押すのは、押す人も乗っている人も大変です。人手があって距離が短い場合は、車椅子を少し持ち上げて、そのまま移動したほうが楽です。4人位で高さが一定になるように、水平に持ち上げて運びましょう。長距離の場合、持ち上げ続けることは難しいので、前輪(小さくてクルクル回転するタイヤ)を浮かせたまま押しましょう。

境内周りの気をつける点

本殿前や境内、神社内の建物など、入口や通路などでカーペット敷きを見かけます。

足が悪く、少ししか足が上がらない方、足を引きずるように歩かれる方は、カーペットが転倒の原因になる事があります。

実は大きな段差より1~2㎝のわずかな方がつまづきやすく、ヘリがめくれていると、足を取られて転倒します。また、雨上がりの屋外は、通路に水たまりがある、ぬかるんでいる、手すりが濡れているなど、大変滑りやすいので十分な注意が必要です。

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本殿の階段は特に注意

本殿に上がる場合、前方の階段(石造りか木造がほとんど)を使うことが結構あります。多くは、手すりなど、つかまる物がなく、一段の高さが高く急な階段です。足が悪くふらつく方には、できれば2~3人で、横と後ろについて、しっかりサポートしてください。万が一バランスを崩した際、とっさに支えられる様に、腕や手、腰など、どこか身体の一部に手を添えて下さい。一番大事なのは、高齢者はバランスを崩しやすく、転倒する危険があるという状態というのを、常に頭に入れて気にかけておくことです。

本殿内での挙式

本殿内、靴を脱いで上らなければならない場合、立ったままの脱ぎ履きはとても大変です。かがんだり片足で立ったりが難しいので、体勢を崩して転倒しやすくなります。腰かけられる台や椅子を用意して、靴の脱ぎ履きをしてもらうのが安全です。

また、神殿内の椅子は布張りで肘あてや背あてがないため、筋力やバランス感覚が弱っている高齢者が座ると、とても不安定です。椅子の中央にきちんとお尻が乗っているか、両足がしっかり床に着いているか、身体がグラグラしていないかなど、必ず確認して下さい。気をつけないと、後ろや横に倒れてしまう可能性があります。

神社のお手洗いについて

お手洗いの場所は高齢者にとって、とても重要です。神社によっては、お手洗いが境内(屋外)にある場合もあります。個室内に手すりがあることや十分な広さがあることはもちろん重要ですが、まず、お手洗いに行くまでの道が、車椅子でも通れるか、歩行が不安定な人でも歩けるか、草や木の根が邪魔をしていないか、今一度確認してください。

神社は思い出の場所

神社は初詣や七五三など身近な行事で訪れる場所です。祖父母の時代、結婚式は神前式が多かったはずです。先日お手伝したお祖母さんは、新郎新婦の姿を見ながら、自分たちも神社で結婚式をしたと話してくれました。「もう何十年も前の事だけど懐かしいわ」と、新郎新婦の姿に昔の自分を重ねているようでした。神社での神前式は、新郎新婦様の晴れ姿とともに、祖父母の幸せな想い出も見せてあげられるかもしれません。

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