教えて!カイゴ (for wedding)

孫の結婚式でも忘れてしまう?とにかく明るい認知症のおばあさまの場合

2019.01.13

ケアエスコートで、高齢のご祖父母を依頼される場合、認知症の方の場合が多いです。

80代、90代になると何らかの認知症症状が出てくることが多いので、大切な結婚式に出席してもらうべきかどうか迷われるようです。

 私たちが、ご家族から受ける相談のほとんどは以下です。

①結婚式に出席して、他のゲストに迷惑をかけないだろうか?

②初めてのところで、しかも長時間で、緊張したり興奮して疲れないだろうか?

③せっかく苦労して連れてきても、すぐに忘れてしまうのでは?

④行き帰りが一人では無理。式場内も、迷子になってしまう。

 

短期記憶なし!!でも明るいお祖母さまの話

少し前に、とても明るい認知症のお祖母さまのサポートをさせていただきました。症状はかなりのもので、何でも、あっという間に忘れてしまうかたでした。

結婚式場は、東京の有名なところ。とても大きな会場で、格式がある分、あまり明るくはなく、通路もわかりにくい場所でした。このケースは、新郎さまのお祖母さま。

新郎さまは、お祖母さまが大好きで、打ち合わせからも、その気持ちがはっきりとわかりました。打ち合わせの時は、「長時間のイベントが辛そうだったら、途中で帰ってもいいです。」とおっしゃっていましたが、無事、全部に参加することが出来ました。

そのご家族は、お祖母さまにとって、ちょっとでも思い出になったらという気持ちで、結婚式にお呼びしたそうです。

「少しでも、気分転換になればいいかな。」

「この先、何年生きるかわからないけど、ちょっとでも思い出が残ってくれたらいいんです。」

それが、ご家族のご希望でした。

 

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とにかく明るいお祖母さまと聞いていますが、どんな症状の方でしたか?

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重度の認知症の方です。でも、とってもおしゃべりのお好きな陽気な認知症。ずっと何かお話されていました。それから、どんなお話も、出来事も、あっという間に忘れてしまう方でした。多分、結婚式に行ったことも、その日のうちに半分以上は、忘れたかもしれない。

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ほんの少しでも、いい思い出に残っていればいいですね!!結婚式当日のご様子はどんな感じでした?

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とにかく、常に楽しそうな感じの方で、うちのスタッフと、ずっとずっと同じ会話を繰り返してました。(笑)それから、話がどんどんお祖母さまの作り話?になって、進んでいきます。例えば、朝、「私、○○の仕事をしてたのよ」。でも午後には、まったく違うお仕事になってました。さっきお話されていたことと、後の話は全然違う内容で、「あれ?さっきと違う・・?」なんてことも。娘様のことも、時々違う人になってました。「先生」だったり、「近所のおばさん」だったり、時には「知らない人」だったり。

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普段は高齢者施設にいる方ですよね?結婚式場だと、全く様子が違って華やかですよね。びっくりしたり、まごついたりされなかったですか?

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それが、会場に入ると、きれいな装飾とか、お嫁さんとかをみて、本当にとてもうれしそうでしたよ!!だれが通っても、みんなきれいな格好をしているので、すごく気になって見つめました。他の花嫁さんが通っても嬉しそうで、振り向きながら何度も何度も見つめていて。その様子がとても楽しそうでした。

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普段とは違う人や初めての場所だったのに、気後れしなかったんですね。よかった!

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いつもと違うというのはわかるようです。なんか周りがキラキラしているな・・みたいな。でも、その豪華な雰囲気をとても楽しんでいる感じでした。

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逆に、どちらかというと、認知症の方って、親族の中にはいるとしゅんとしてしまう人が多い気がします。久しぶりに会う親族とかがいるので。

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親族のほうが緊張するの??どうして?

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多分、めったに会わない親族さんは、今のお祖母さまにとっては、「知らない人」なんですよね。その人に、急に親しくされるからでしょうか。

このお祖母さまも、親族から話しかけられると「誰だろう??」というような、少し不安な顔をされました。それと、なんか恐縮しているような、態度も身体も小さくなって、急におとなしくなった感じ。新郎さんが来て、やっと顔がほぐれました。それまで、私たちに「あなたたち、どこにも行かないで・・」と、ずっとすがるように何度もおっしゃっていました。

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たぶんご自分が「忘れている」ことが、なんとなくわかるんでしょうね。

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突然自分の知らない人から、「おばあちゃん、久しぶり」「よく来たね!」とか言われると、逆に不安なのかもしれない。「この人、誰・・? 何者?」って感じでしょうか?

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私たち(ケアエスコートスタッフ)のことは、何者かわかっているのかしら?

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「そばにいてくれる人」というのは、わかっていました。短期記憶を駆使して、顔もなんとか覚えてくれているようでした。

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披露宴はどうでした?盛り上がりましたか?

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とにかく、新郎さまが、お祖母さまのことを大好きなようで、お祖母さまの近くによく来てくれ、写真も何枚も何枚も撮っていました。きりっとした新郎さんだけど、本当に優しくて、「おばあちゃん、大丈夫?大丈夫?」と気にかけていました。こんなに新郎さん、高砂から来て大丈夫かな?と思うくらい。

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本当に、おばあちゃん大好きな新郎さんですね!!いいなあ。それって、周りのゲストから見ても、とてもいい雰囲気になるんじゃないかな?

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そうですね。きっとゲストの方みんなが、新郎さんがおばあちゃんっ子なのを知っているんでしょうね。友人のゲストも「かわいいおばあちゃんだね」とか「おばあちゃんと仲がいいな」とか、声をかけていました。雰囲気がとてもあたたかくて、ゲストの皆が二人を見守っている感じがしてすごくよかったです。新郎新婦の人柄を感じられるし、いい披露宴だなあとみんな思ったのではないかな。

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披露宴の様子が目に浮かびますね!!いい結婚式ですね!

 

年齢が高くなってくるとどうしても認知症になりがちです。

ここのところ、運転免許の話や介護の話題で、認知症という言葉は、結構よく耳にします。60歳を過ぎた方は、自分が認知症にならないことを意識しているのではないでしょうか?

認知症は、これからの日本の大問題です。

認知症の最大の危険因子は加齢です。65~69歳での有病率は1.5%ですが、以後5歳ごと倍に増加し、85歳では27%に達します。

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厚生労働省 しることからはじめよう みんなのメンタルヘルス より

認知症の原因にはいろいろあって、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などです。日本では、アルツハイマー型が7割を占めるので、認知症と言えばアルツハイマーという印象ですね。

認知症と一概に行っても、症状は様々で、問題行動も人それぞれです。結婚式の出席を考える場合、重度な困った行動がある方は、最初からご家族もあきらめているようです。、でも、軽い症状や、誰かがお世話をすれば大丈夫なケースは、なんとか出てほしいというご家族が多いようです。

誰かがしっかりサポートできるなら、認知症でも、参加は可能ですし、結婚式は楽しめます。ただ、結婚式は、準備、挙式、披露宴で8時間近くかかるイベントで、行き帰りもあります。

サポートする方が、実際に当日、長い時間こまめに見守ることが出来るのかを、しっかり検討する必要があります。

認知症についての情報 ↓↓↓

認知症介護情報ネットワーク

厚生労働省 みんなのメンタルヘルス


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