教えて!カイゴ (for wedding)

披露宴の食事介助はどうすればいいの?プロが徹底解説

2019.07.31

結婚式はお祝いの日ですから、準備やサポートがあれば、介護が必要な人でもお料理を存分に楽しむことが出来ます。ただ、先日も式場の方から、高齢のゲストが増えているが、式場スタッフは配膳に手一杯なので、大変困っているとお話がありました。ただ、食材を切ればいいというものではなく、その方の状態に合わせることが重要です。

介護の状態は、落ち着いている人もいれば、状態が変わりやすい人もいます。結婚式の直前には、必ず、食べ物の形状や食べてはいけないものが、変わっていないか、確かめてから出席しましょう。

高齢者にとって、お料理は一番の楽しみ

結婚式の楽しみの一つに、食事があります。

披露宴で、新郎新婦のはじめの挨拶がお料理の紹介であったり、シェフがメニューの説明をしてくれる演出があったりします。披露宴の中のお料理の比重って、とても大きいですね。

披露宴の料理は、どのメニューが人気でしょうか?

 マイナビウェディングの調査から。

図

マイナビさんのアンケート結果のコメント欄を見ていくと、メインの料理に、お肉を選ぶ新郎新婦が多いようですが、年配ゲストに考慮して、あえてメインにアワビや魚を選ぶカップルもいました。

44.7%の和洋折衷を選んでいる理由には、なるべく幅広いゲストに楽しんでもらいたい。ということでしょうか。

36.3%のフランス料理を選んでいる新郎新婦も、年配のゲストにも食べやすくアレンジしたフレンチのようです。祖父母のことも考えて、料理を選んでいるカップルがいることが、よくわかります。

 

ゲストの期待も料理にある

 そして、呼ばれたゲストも披露宴の何に満足したというアンケートで「料理」が、ダントツ1位!です。

みんなのウェディング 調査 

図2

 

なので、呼ぶ方も、呼ばれる方も、料理に気合が入っています。

 

実は、介護が必要な方も、お食事を本当に楽しみにしています。ケアエスコートの打ち合わせで、ご家族から「そんなには食べないはず」「小食です」と伺っていても、実際はしっかり完食されるお祖父様、お祖母様がとても多いのです。

ですので、私たちも披露宴では、気合を入れて、召し上がってもらっています。

 

介護が必要な方に、おいしく食べてもらうには

 結婚式の料理は、自宅の食卓に並ぶ料理とは違います。盛り付けの美しさを重視しているので、グラスや食器、装飾品も、普段の食卓とは異なります。

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なので、食事ケアは、その方のレベルやメニューごとに違います。

介護が必要な方の状態(ケアのレベル)でのサポート方法

カットは出来ないが、自分で食べられる

・手にマヒなどがあり、動かせない方  

・ナイフとフォークを持つ力がない

・箸で食べたい

対応方法食べやすい大きさにカットし、フォークや箸でつかめる場所へおいて、声をかける。もし、箸やフォークがうまく使えない場合は、スプーンで様子を見る。

自分の口元へお皿を持っていく方法で運びたい場合は、小皿を借りる。

 

カットも出来ず、自分では、食べ物を口まで運べない

・寝たきりの状態の方

・身体が震えてしまう、こわばってしまう方

対応方法:食べやすい大きさにカットし、食べる介助を行う

 

自分で食べられるが、誤食がある

・認知症状で、何でも口に入れてしまう。

対応方法:料理を手でつかんでしまったり、お料理の飾りを食べないように見守って、本人が恥ずかしい思いをしないようにする。お食事の時間を楽しんでいただけるよう、気持ちにもあわせていく。

 

口から食べることが出来ない

・胃ろうのため

・食事制限がある

対応方法:食べれないけれど、テーブルにお料理を運んでもらうか?を考える。

 

視覚障害がある

対応: 運ばれてきたメニューの名前・盛り付け方・色・食材・形出来る限り、イメージできるよう口頭で説明してから、食べてもらう。いつもと同じように、結婚式でも食事介助する。 

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どのケースも、料理の熱さがわかりにくいので、スープは冷ましてから飲んでもらったほうが安全です。

自分で食べられる場合は、自分のペースで、自分で選んで、口に入れた方が、断然おいしいのです。

また、パンや繊維の多い食材、海藻類、葉物などは、噛み切れず、口の中にモゴモゴ残ってしまうものがあります。

口の中でモゴモゴしているものは、本人が飲み込めずに困っている状態なので、気づいて、出すように促してあげましょう。出せずに、飲み込もうとしてしまうと、のどにつまらせて、大変なことになります。

誤嚥に気をつけましょう。

日本気管食道科学会 一般の皆様へ

 

披露宴の食事で気をつけること。

事前にチェックしておくべきこと

  •  アレルギーはないか
  •  食事にとろみ剤を使っているか
  • 普段の食事の形状ややわらかさはどうか
  • 薬との飲み合わせで、食べてはいけない食材がないか
  • 好き嫌いがあるか
  • 1日に飲んでよい水分の量が決まっていないか
  • 塩分の制限があるか
  • アルコールの制限はあるか

普段食べている食事形態を必ず確認しましょう

食事形態とは(健康長寿ネットより)

通常、介護される人が、何をどんな食形態で食べているのか。知っておく必要があります。なぜなら、結婚式で運ばれてきた食事の中に、その人にとって、食べれるものか食べれないものか、の判断が直ぐにできるからです。

 もし施設などで生活していて、普段食べている食事の形態が、分からなかったら、施設のケアマネージャ-や介護士、看護師に聞きましょう。

また、自宅で生活している人は、通院へ一緒に行く人・一緒に生活している家族・その方の食事を調理してくれる人・食事の買い物をしてくれる人に聞きましょう。

普段食べている食事は、事前に必ず確認しましょう。

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食事は食べる前から始まっている

 食事は、視覚と嗅覚が重要です。視覚は、みることで食欲を増進してくれます。嗅覚も同じように、香りが食欲を誘ってくれます。また想像力も、食欲をそそってくれます。

例えば、メニューを見ると、どんな料理が運ばれてくるのか、想像力が膨らみ、身体が、食べる準備をしてくれます。

どんな料理が運ばれてくるのか。

どんな味なのか。

盛り付けも楽しみです。

高齢者も、披露宴の華やかな雰囲気の中で、素敵な盛り付けの香りや色どりを十分味わいます。

まとめ

1. 状態によって、介助方法が全然違う

2. 食べ物の中には、危険なものがある

3. アレルギーや、薬の飲み合わせに注意が必要 

4. 普段食べているものを把握するのは重要

5. 食事は、視覚と嗅覚と想像力も重要


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