車いすで参加される方のエスコートで、結婚式場に段差がある場合、スロープの設置をお願いすることがあります。
スロープ・・・英語表記では、slope(意味としては、傾斜面・斜面・勾配)です。介護をする場面では、段差に置く板状の用具の事を、「スロープ」といいます。
スロープを置くことで、車椅子(車輪のある歩行器)でもスムーズに昇り降りができるようになります。また、筋力が弱くなった方が、またぐ動作をしなくてもよくなる、という利点もあります。
「介護用スロープ」と検索すると、いろいろな形や素材のものが出てきます。ほとんどのものは、真ん中で折りたため、サイドに持ち手がついていて、持ち運びするタイプです。
スロープは置く方向が決まっているので、適当に置くと事故になります。段差へこの部分までひっかけてください。という箇所が定められています。また、全ての場所に設置できるわけではないので、気を付けてください。
最近は、ご高齢のゲストが増えているため、結婚式場でもスロープを用意しているところが多いようです。必要な時だけスタッフが用意し、すぐ片付けて、美しさを保つ感じです。
私たちは、結婚式場の下見に伺い、スケジュールと場所を確認します。会場や廊下は車いすでも通れるような仕様でも、細かく見ていくと段差があることが多いのです。会場にスロープの用意があるときは、プランナーさんと打合せし、準備をお願いします。
結婚式では、写真撮影を色々な場所で行います。チャペル、庭、階段でも良く撮影しています。
その結婚式では、チャペルで挙式が終わり、中庭に出て、フラワーシャワー、写真撮影がありました。
中庭から室内へ戻る時の入り口が、足元から床面までが20cm以上あり、スロープの準備をお願いしました。事前にお願いしていたので、式場の担当者が、直ぐにセッティングしてくれました。
ホテルには、披露宴会場が和風や洋風と趣向が凝らされ、何会場もあります。
この日は、絨毯で敷き詰められたホールをぬけて、間口の広い、和テイストの披露宴会場へ案内されました。ゲストは靴を脱いでの入室です。
和のイメージにぴったりの木製のレール式の木製のスロープがさりげなく準備されていました。
あがりかまちの高さは15cmくらいありましたが、車椅子はそのまま上がることができました。
多くのホテル内のチャペルは、最高の景色が満喫できるよう設計されています。
この日は中段階の下にチャペルのある構造のホテルでした。
チャペルへの入場と退場の扉は別になっていて、両方が3段ほどの階段でした。車椅子で到着すると、式場スタッフさんがスロープを直ぐに設置してくれました。挙式後は、一番最後にスロープを設置してもらい退場となりました。
車椅子で生活している方は、家やホテルから結婚式場へ移動する時、介護タクシーを利用することになります。
介護タクシーには、車にスロープが搭載されています。
スロープはリモコンで操作、自動で車両から出てきます。そのスロープの上に車椅子ごと乗せてもらえます。スロープ面に設置されているベルトで車椅子が固定されます。それからウィーン・・・と後部のスペースに、スライドされて動いていきます。後部座席に座ったような形になり、車椅子にもちろん座ったまま、シートベルトをかけてもらって乗車完了です。
乗降は、機械の操作があるので、運転手さんにお任せします。走行中は、運転に集中してもらいます。
遠方から、結婚式へ参列する方も多くいるでしょう。結婚式に限らず、新幹線に車椅子で乗りたいときは、列車への乗車時・降車時ホームと列車の隙間に車輪が落ちないように・段差が無くなるように、スロープを設置してもらえます。
車椅子で乗車する場合は、席の予約時、構内での駅員の付き添いの有無を、聞かれます。
混雑時に、駅構内を車椅子で進むのは、かなり大変です。駅員さんの付き添いをお願いしたほうが安全です。介助する人が一緒にいたとしても大きな声で、「通りますので、道を開けてください」と呼びかけてくれますので、車椅子の通り道が簡単にできます。
列車内は、車内担当の駅員さんが乗降時や、途中でも声をかけてくれ、かなり親切です。
自宅で生活している方を担当している現役ケアマネージャーによると・・・・
住宅改修までは必要ないけど、生活に支障があるなと思ったら、スロープの検討をするそうです。
どんな福祉用具を使用しているか(車椅子の方や歩行器)から見ていくそうです。
◎自宅の中や外で細かい段差
◎あがりかまちが高い。
◎玄関扉の高さのある敷居
介助する人の力量もあるので、総合的に判断するそうです。スロープを置くことで、日常生活がスムーズになり、転倒防止にもなるんですね。
私たちが何気なく上ったり下りたりしている場所でも、実は「入れる・入れない」問題があります。
結婚式の会場やレストラン、神社、そして、道中や日常の場面でも、車椅子の人、歩行器を使っている人、杖を使っている人にとって、「入れない」「通れない」場所はたくさんあるのです。
結婚式場を見るときに、少し目線を下げて、気をつけながら考えてみてください。大切なゲストがスムーズに動けるのか?準備は大丈夫か? もし不安な場合は、ぜひ式場スタッフに事前に相談してみてください。
介護の必要な大切なご家族と
結婚式の喜びを分かち合うお手伝いをいたします。