みなさんこんにちわ。
ご高齢の方が転びやすいところといえば、
思いつくのは、段差、階段、足元が悪い道などなどです。
ですが、実は、平坦な場所でもとても転びやすい場所があるのをご存知でしょうか。
今日はその転ぶ原因を色々な視点から見てみましょう
止まったものを、物を押して動かすには力が要ります。
この時、どんな床で物を押すかで、滑り具合が変わってきます。
この滑り具合を静止摩擦係数といいます。
転倒と静止摩擦係数の関係は、
静止摩擦係数がとても低ければ、つるんと滑ってしまうし、
静止摩擦係数が高ければ、引っかかって転んでしまいます。
ではどのくらいが歩きやすいかというと
歩行に必要なすべり抵抗値 15歳~60歳以上まで、100人を被験者とする
全被験者における静止摩擦係数・・・0.48以上
高齢者における静止摩擦係数・・・0.52以上歩きやすいすべり抵抗値
全被験者における静止摩擦係数・・・0.7以上
高齢者における静止摩擦係数・・・0.7以上
引用:一般歩行と高齢者歩行に対する適正なすべり抵抗値について平坦部と勾配部における検証
この辺りの数値になりそうです。
東京都でも、耐滑り性試験で0.3以上を基準としています。
では、一般的な床材の摩擦係数を見てみると、
上記は床材料の防滑性に関する研究からの引用ですが、乾いた状態でも、畳やカーペット、フローリングはやや滑りやすいです。
あらかじめ「滑りそうだな」と注意して歩くのと、突然転びそうになってしまうのでは大きな違いがあります。
むしろ危ないのが、気づきにくい滑りやすいところです。
突然滑りやすい場所が現れると、急に姿勢を調整できずに思わず転倒してしまいます。
高齢者であるほど、急な姿勢調節は難しいので、すってんと転んでしまうことがあります。
綺麗な大理石のトイレなどは、床が濡れているのも気づきにくい時もありますのでご注意下さい。
高齢者は加齢と共にすり足歩行となりがちです。
重心線が常に後方に位置した 状態での歩行では,荷重が足底の後方(踵部)で行われるため,
前足部の筋活動が慢性的に減少することが推測できる。
これらのことから,本研究の80歳以上の対象者 では,足把持力の廃用性の筋力低下が生じたものと推察した。
こちらは学術記事からの引用ですが、簡単に言うと、
加齢と共に姿勢を支える筋肉も衰えて、重心が後ろになるので、
カカトに体重を乗っけて歩くようになります。
そのため、つま先の筋肉が衰えて、つま先があがらなくて、小さな段差に引っかかるようになります。
フカフカの絨毯などは、予想以上に沈み込んでしまい、足を上げたつもりでも、引っかかってすり足になって、
転ぶことがありますのでご注意ください。
ベストな対応としては、転倒の危険が考えうる場所に、必ずスタッフが付き添いするというのが一番安心安全です。
しかし、ただ付き添うのではなく、いつでも手助けできる距離が必要です。
なぜなら、高齢者は転ぶときは一瞬で転ぶことが多く、近くに居たとしても何もできなかったということもあり得ます。
また、別の方法としては、注意が必要なところは、明るめにしておくことも重要です。
以前「もっと光を!!という眼の話」のコラムでお話ししたように、ご高齢の方は光が重要になります。
転倒の恐れがあるところは、光を増やして明るくするのも良いのかもしれません。
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