ケアエスコートの竹森利恵です。
介護の必要な方が結婚式に出席される場合、「何を着て行けばよいか・・」という事と同じくらい悩まれるのが、「何を持って行ったら良いか・・」という持ち物に関する事ではないでしょうか。
久々の外出が結婚式出席という方も多いので、外出は外出でも、フォーマルな場だし・・と様々な場面を想像して悩んでしまわれるのも当然です。
今回は、石川、池上、井上と一緒に、何が必要か考えてみます。
池上: ご高齢で外出されるとなると、なるべく軽装で最小限必要な持ち物で出かけたいところですよね。
石川: でも、長時間のハレの日のお出掛けとなると、また話は別。結婚式では、快適に楽しく過ごしたいもの。準備万端、整えて出かけたいでしょうね。
池上: 準備する用品は、一般の大人の方とシニアの世代、高齢者世代は違いますよね。
井上: では、まず、一般の方とシニアの方の持ち物について考えてみますか?
お召し物に関係する持ち物、小物
石川: 身だしなみや服装について、「高齢の祖母の服装はコレ!」結婚式で恥かかない!疲れない!15個のポイントに書いていますが、小物を忘れたらけっこう大変ですよね。 以前、新郎様のお母様が留袖を持参されたのですが、肌襦袢が荷物に入っていなくて、あわてて式場で購入した事もありました。末広(扇子)もお忘れになっていたので、帯にささないまま写真撮影となりました。
池上: では、まずお召し物に関係する持ち物からですね。
洋装の場合
・ネクタイ・ネクタイピン・カフス・ポケットチーフ・靴下・ストッキング・靴 など
・上着・ボレロ・アクセサリー(ネックレイス、イヤリング・指輪) ・コサージュ・小さめのハンドバッグ・靴下・ストッキング・靴 など |
和装の場合
・着物・羽織・袴・角帯・襦袢・腰紐2本・衿芯・草履・白い扇子 など
・袋帯 ・お草履 ・小物(肌着上、裾除け、長襦袢に半衿はついているか) ・伊達巻帯揚 ・帯締め ・帯枕 ・足袋 ・腰紐4本 ・帯板 ・扇子(末広)・衿芯 |
井上: 高齢の方や寒さに弱い方には、さらに、気温調節のグッズがあると助かりますよね。夏場でもけっこう冷房が聞いていることもありますし、冬場にガーデンに出ることも。少しの時間でも、けっこう冷えます。
石川: ケアエスコートでは、必ずひざ掛けをご用意していますね。教会や神殿のお席に座っていると、席次場所によっては、かなり冷えてくる場合があるので、ひざ掛けが1枚あると安心です。そんな寒いの?と思われるかもしれないけれど、厳かな雰囲気の中で、身体をそれほど動かさずに過ごすので、足元から冷えてしまいます。ひざ掛けは本当に必需品。
池上: 冬場などは、カイロやレッグウォーマーもあったらいいですよね。ご用意しておくと、喜ばれます。
井上: ハンドタオルも、ハンカチとは別に欲しいですね。涙シーンはハンカチが必須なので、それとは別に、お手洗い用のハンドタオルがあるとスマート。手を洗うときに白いレースのハンカチで手を拭いてしまうと、くしゃくしゃになってしまう。式用のハンカチと使い分ける事がおすすめ。
池上: お化粧室には、ハンドペーパーやハンドドライヤーがあるけれど、手が届かなかったり、急いでいるのに込み合っていることもありますものね。
持っておくと助かる小物類
色は黒やグレーが無難ですが、パステルやレースの入ったものも素敵です。
男性・・・白やグレー。ピンストライプのシンプルなものも素敵です 女性・・・白や淡い色で。レース刺繍が入っていれば尚素敵です
お食事のあと薄くなるので、お化粧直し用に、お化粧ポーチに収納してバックへ。
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石川: お金も、ご祝儀のほかに少し必要ですね。タクシー代はもちろん必要だし、突発的な買い物があるかも。以前、お客様のお泊りのホテルへお迎えに伺い、お仕度も完了。後はタクシーに乗っていくだけ!となった時に、お客様が履いてらっしゃる靴の底が剥がれて履けなくなってしまった。急いでホテル近くのデパートに行って、新しい靴を買ったのですが、こんなこともあるかもしれない。
井上: ご祝儀やお心づけ、お礼などはしっかり用意されていても、ご自分で持って行くお金の事は忘れがちですね。
お金 突発的な買い物代など |
池上: 高齢の方の場合は、結婚式の日の前に、いつも使っている身の回りのものをメモに書いて、貼りだしておくとよいかもしれません。メガネや補聴器、義歯は忘れると大変です。
石川: メガネは、席次表・お料理のメニューの文字が小さめのこともあるので、ぜひ必要ですね。スクリーンを使った演出もあるし、家族の席から高砂が離れていることも多いし。
池上: 音楽も素敵だから、補聴器もぜひ!それから、せっかくのおいしいお料理なのに、義歯を忘れたら大変・・・。
井上: 意外と杖や歩行器を忘れることもあります。玄関を出るとき、下駄箱に立てかけてそのまま。特に、外出の時だけ使っている方は要注意ですね。あと、外出の時だけ、かつらやウィッグを使われる方もいますよ。出かける前に荷物に入っているか確かめたほうがいいですね。肝心の時に忘れる方、けっこういらっしゃって、がっかりされるとかわいそう。
石川: 毎日飲む薬は絶対忘れないでほしい。飲まなかったら、1日、気になってしょうがなくなるから。とろみ剤も、ご自分のお好きな物を用意したいですね。
井上: ご高齢の方は、お薬も飲むし、こまめにお水をとったほうがいいので、ペットボトルや使い慣れたマグカップがあるといいですね。ストローもあったら便利です。
池上: お式のスケジュールによっては、披露宴の時間と薬の時間がずれることも。ちょっとだけ胃に入るような、おにぎりやパンがあると安心して薬が飲めます。
日ごろ使っている道具や常備薬
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高齢者の外出の時に、あると安心なグッズ
気分転換に。控え室で1時間以上待つ場合や、車に長時間乗ることもあるので。 |
どのくらい、何を持っていくべきか?
石川: 介護が必要な方の時は、なるべく、普段使っている介護用品を持っていきたいですね。介護用品や医療品は、式場やコンビニなどでは、なかなか手に入らない。当日持って行かなかったり、忘れてしまったら、ただでさえ忙しい結婚式当日です、式場周辺のドラッグストアを探して、急いで買いに行って・・・なんてことに。ドタバタと慌ただしくなってしまいます。
井上: それに、当日の集合時間は、朝早い事が多いので、お店が開いていない事もありますね。
池上: どなたか買いに行く方がいて、時間にも余裕があるならいいんだけれどね。新郎新婦やご両親は、まずそんな時間はないですよね。
石川: でもね、あまりにも荷物が大きかったり多かったりするのも大変かも。車椅子を押したり、介助したりするとき、手が思う様に動かせなかったり、荷物がじゃましたり車椅子に乗っている方にぶつかったり。本当は、出来るだけ荷物は少なく、コンパクトな方が楽なんだけど。
井上: 介護用品のオムツやパットや着替えで、どうしても持ち物が多くなってしまいますよね。
池上: クロークを上手に使うのがおすすめかな。お手洗いや食事に必要な物だけ手元に持っていて、あとは預けて身軽になったほうがいいですよね。私は、もし持って行こうか迷っている物があるならば、それは持って行った方が良いと思う。
井上: 長時間の外出や遠出する時などで、「持って来なかったけど大丈夫かしら?」と急に心配になる事ってありますよね。
石川: そうそう、そして気になりだすとずっと気になってしまうという・・。せっかくの素敵な一日が楽しめなくなってしまうかもしれない。
池上: もし、使わなくても持ってるだけで安心という事もあるので、迷っているものは持って行きましょう。
お手洗いに関すること
池上: 皆さんご家族が一番、心配されるのがお手洗いです。
石川: オムツの場合、式場に横になれる場所がないこともありますよね。テープ式のオムツだと、交換が出来ないこともあるんですよね。
井上: その場合は、お手洗いで交換する事も考えて、その日だけリハビリパンツにして頂くかな。もちろん、立てる方で、普段お手洗いにも行っている方とかの場合だけど。
池上: パットは、結婚式だけ、いつもよりも大きい物や長時間タイプ(夜用等)を使う場合も。
井上: ただ、大きいパットほど厚みや幅があるので、フォーマル服を着ていると、少し窮屈かな。認知症がある方だと、普段と違うと不安になる場合もあるので、その方に合わせて考えることが大事かも。
石川: トイレに流せるタイプのお尻拭きと陰洗ボトルも必需品。お通じがあったときや不快な様子の時にさっと拭ける。
池上: 陰洗ボトルって皆さんご存知かな?ペットボトル(350mlの小さい物がかさばらなくてベスト!)のキャップに、キリなどで3か所ほど穴を開ければ出来上がりです。
オムツ交換の時や、お通じのあとに、ペットボトルにぬるま湯を入れてキャップをすれば、開いている穴からシャワーの様にお湯が出て、お尻を洗うことが出来ます。シャワートイレみたいな感じ。
井上: 介護用グローブもぜひ、持参!! お手洗いの介助の時にお尻を拭いたり、オムツやパット等を交換したり、処理したりする時にいります。もし、お手洗い介助をする方が何人かいる場合は、それぞれの方が持っているといいですよ。どなたか1人がまとめて持っていると、別々に動いている時、必要になってもすぐには使えませんからね。
石川: それと、予備(替え)の下着やズボンもあったほうがいいですね。万が一失敗した時に助かります。
お手洗い用品
当日だけ通常使っているパットよりも大きい物・長時間タイプ(夜用等)を使うのもあり
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お食事に関すること
石川: お食事中に、服にソースなどがこぼれたら、やっぱり気まずいもの。食事用エプロンがあると安心です。
井上: 披露宴の食器やナイフやフォークは重いので、普段使っている軽い食器やスプーンがあると使いやすいですね。恥ずかしがらずに使ったほうがいいです。
池上: 飲み物を飲む機会も多いので、普段使っているとろみ剤を持っていきましょう。あと、ストローもあると便利ですね。お食事のあとの口腔ケアもしたほうがいいな。
お食事用品
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車椅子に関すること
石川: 結婚式場の車椅子は、まだまだ古いものが多いですね。
井上: 最近では、色々便利な車椅子が出ていますが、式場のは旧型のが多い気がします。長時間乗る場合には、クッションや円座を持っていったほうが楽です。
池上: 身体に傾きがある方は、バスタオルを1本か2本ご持っていくと、傾きに合わせて空間にタオルを詰めて、安定した姿勢が取れます。褥瘡予防にもなるし。
井上: 防水シーツは便利ですよ。車椅子や椅子を汚してしまうと心配な方は、車椅子や披露宴会場の椅子に敷いたり、休憩の際横になれる場所があるなら、そこに敷いて休んでもらえば安心ですよね。
車椅子関連
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高齢者や要介護者でも楽しめるもの物
池上: 以前、ケアエスコートさせていただいた新婦のお父様は車椅子でしたけど、お嬢様の嫁ぐ日を一生懸命カメラでおさめいて、私はジーンとなりっぱなしのお式でした。
井上: カメラが使える方は、ぜひ使っていただくといいですよね!!撮っているご本人もとても楽しまれますね。そのほかにも、何か気分転換になるようなものがあるといいかもしれないですね。
池上: 以前、認知症状がある方のサポートをした時ですが、お元気な頃はお習字の先生をされていたというエピソードを伺ったんです。結婚式当日お控え室での待ち時間が長いな・・と思っていたので、筆と紙を準備させていただきました。少し退屈して不安そうな様子が見えたので、お習字をされますか?お誘いすると、とても喜んで始められました。 この時は、筆と紙が重要な持ち物の1つでした。
石川: ハレの日にそなえて、忘れ物がないように、持ち物をリストアップしていくと、準備も楽しい時間になりますよね!!
池上: 以前、ご自分で歩くことが出来ない花嫁様のお母様のお手伝いをしました。黒留袖を式場のスタッフの方が着付けてくださいましたが、お手洗いのことがとても不安そうでした。肌襦袢は汚れても大丈夫ですよ、洗えますよとお伝えしたのですが、とても気になっているご様子。
そこで、大きなパットを腰回りに巻いて着付けていただきました。それにご安心されたのか、立ったり座ったりをお手伝いするときも、気にせずに動いていただくことが出来ました。写真撮影でも、素敵な笑顔でご家族とご一緒できました。長時間の披露宴でも、ゲストの方とたくさんお話ができてとてもお幸せそうでした。
井上: 身体のご不自由なところを、工夫してサポートすればとても安心されますよね。
池上: 安心って大事だなあ・・て、つくづく実感した日でした。
洋装の場合
和装の場合
持っておくと助かる小物類
高齢者の場合
要介護の方の場合
介護の必要な大切なご家族と
結婚式の喜びを分かち合うお手伝いをいたします。