介護施設にいらっしゃる祖父母様。久しぶりの外出で、長距離で長時間になるのが心配。また、お祖父様は、足を骨折されて入院されていたため、無事に結婚式に出席できるか不安。
9:00 スタッフAご祖父様の病院を訪問 |
この日は、朝から雨予報が出ていましたが、外は、薄曇り。雲間から、わずかに光がさしていました。なんとも良いスタートです。
まずは、ご祖父様の病院に訪問すると、ロビーでテレビをご覧になっていました。お祝いの言葉を告げると、爽やかな笑顔で「みんなお任せだから・・よろしくお願いします。」と仰ってくださいます。
実はお祖父様は、1か月前に足首を骨折されてご入院となっていました。
ご依頼を受けてから、骨折されたので、無事にご出席できるか、とても心配していましたが、無事に外出許可が下りました。ただ、足に荷重がかかることは厳禁なので、ご家族とお洋服や靴のこと、介護方法などを事前に打ち合わせしてきました。
結婚式の3週間前にお祖父様にお会いしに病院へ訪問したときは、看護師さんから、細かな注意と移乗方法などの確認もしていました。
結婚式前日も病院からご様子を伺い、結婚式会場で、どのように動くか、何パターンか考えていました。結婚式の当日、お祖父様のご様子を見てみると、とってもよくなっていらっしゃるようでした。
外出用の洋服へ着替えます。時間通りです。
お支度をはじめます。娘さまが準備してくださった、外出用のお洋服へ、しあわせそうな表情で着替えていらっしゃるので、私もホカホカな気持ちになります。
お祖父様と病院を出発し、ご祖母様の施設で合流します。お祖父様は、何日かぶりでお祖母様と顔を合わせるそうで、とっても嬉しそうでした。
一方、他のスタッフが、お祖母様の介護施設に訪問しています。お部屋に伺うと、穏やかな表情で、ベッドに横になっていらっしゃいました。挨拶の声に気づいて、パッと目を覚まされました。
結婚式の5日前に、私たちはお祖母様へ、ごあいさつに伺いました。お祖母様は、ニコニコと笑顔で迎えてくださいました。この日は、娘さんにフォーマルをそろえていただき、試着していただきました。
上下黒のパンツスーツ、ネックレス。コサージュもつけてみました。とても華やかな雰囲気になり、施設の職員さんも一緒に喜んでくれました。
その衣装にお着替され、準備万端です。
予定時刻通り、お祖父様を乗せた介護タクシーが、お祖母様の施設玄関前にスーッと停車しました。
笑顔のお祖母様が、玄関から車椅子で、出て来られました。
車椅子なので、隣同士というわけにいかないので、乗り込む前に、ご対面していただきました。
その時の、お祖父様の嬉しそうな顔!!! 忘れられません。道中は、車内に晴れやかな空気が、流れていて、お二人はとてもお幸せそうでした。
お祖父様は、都内の景色が懐かしい・・と、外をずっと眺めていらっしゃいました。
式場に到着すると、ご家族に迎えられます。
お祖父様は、入院中、色んな思いがあったのでしょう・・涙がこぼれています。
身支度を整えおわると、チャペルへご案内します。式場のスタッフさんが最前列をあけてくださっていました。
白いドレスに身を包んだお孫さんが、バージンロードをゆっくり歩いてきます。
お嫁に行くお孫さんを、じ-っと、見守るように見つめているお二人。ジーンとしてしまいます。
披露宴までの間、お二人には、個室で一息ついていただきました。
ただ、この間に、お祖父様とお祖母様にやってもらうことがありました。ご祝儀袋に、ご自分でお名前を書いていただく作業です。
久々に字を書くそうで、緊張気味でしたが・・力強い字が、言祝いでいます。会場キャプテンの粋な計らいで、ご祝儀を、新郎新婦さんへ、直接手渡す、という演出を生み出してくれたのです。
披露宴では、お祖父様が新婦さんの中座のエスコートをするという、サプライズが待っていました!!
「新婦が、中座のエスコート役に選んだ人に向かって、歩いています」
「さあ、誰に向かって歩いているのでしょうか。」と、司会者の進行が入ります。
新婦さんは、お祖父様の目の前で立ち止まりました。お祖父様は、うれしさのあまり、顔がくしゃくしゃです。
新婦様は、まっすぐなまなざしで、お祖父様のお顔に近づき、何やらお話してから、お祖父様・お祖母様にプレゼントを渡されました。
新婦さんの何とも嬉しそうなその表情。本当に、おじいちゃんおばあちゃんが大好きなお孫さんなのだと、伝わってきます。
新婦さんとお祖父様、二人並んで、皆様に、深々とこうべを垂れています。そして、新婦さんをエスコートして扉の向こうへ。おじいさまは、見事に大役を果たされました。
披露宴の華やかに飾られたテーブル。次から次にサーブされる、新郎新婦さんが心を込めて厳選したお料理。
余興のお歌には、新婦さんも登場です。美しい歌声、お祖父様もお祖母様も、聴き入っていらっしゃいました。
お世話になった方々が、テーブルに挨拶に見えます。お二人とも、休憩を忘れてしまうほど、楽しんでいらっしゃいました。
おひらきになりました。名残惜しそうに、会場をあとにします。
外は冬の雨になっていました。側道のイルミネーションが、きらきらと輝いています。少しお疲れになったかと、心配でしたが、車の中でも、結婚式の余韻を楽しまれていました。
かわいい可愛いお孫さんが成長して、飛び立っていく、晴れ舞台。
二人が参列できたのは・・・
ご家族皆さんの思いが一つになって、このお二人を愛情深く包んでいたんだなあ・・とあらためて気づかされました。家族の力ってやっぱりすごい。
車椅子での移動や当日のお世話が家族だけでは難しい、長時間なのでお疲れにならないか
9:30 ご入院先へお迎え 10:00 ご入院先出発 11:30 お式場到着 お着替えなどのお仕度 14:45 親族紹介、挙式 15:15 集合写真 お着替えやお休みの準備後退室 |
ご入院されている病院にお迎えにあがると、お父様はちょうどお着替えをされている途中でした。
ベッドにお座りになる姿勢が不安定だったので、
私達スタッフの1名がお体を支え、もう1名がお着替えのお手伝い。
「立つことは難しいかもしれない」と、事前のお打ち合わせでお伺いしていましたが、
ベッドの手すりをつかまると、何とか立つことができ、安心しました。
実は、
「お開きの時間まで長いので、お父様の体力が持たなくなった時」
「途中で具合が悪くなった場合」
「立てない状態の場合の準備と場所の確保」など、
いろいろと事前に、検討して用意していました。
通常は2名体制ですが、万全を期するために、男性スタッフも参加させていただきました。
介護タクシーはお式場の正面玄関に到着。
モーニングへのお着替えは、4Fの特別に用意していただいたお部屋を使わせて頂きました。
開始時間よりも早く着いたので、車いすからソファーへご案内し、
軽食を召し上っていただいたり、少しお休み頂いたりしました。
最初はなんだか緊張しているご様子のお父様でしたが、
冗談を交えてスタッフに色々なお話を聞かせてくださいます。
ご自分のご病気の話、スポーツの話、ご家族のこと、当然、お嬢様の話も沢山!
冗談を交えて話してくださったこの時間が、お父様と私達スタッフとの距離が縮まった瞬間でした。
ご親族紹介・・そして、いよいよ挙式です。
挙式は別棟にある教会にて。車椅子のまま、お父様を一番前のお席へご案内しました。
バージンロードを歩かれるお嬢様を見た瞬間、お父様は車椅子から自力で立ち上がられました。
私達は急いで、後ろからしっかり支えます。
「・・・」
声にならず、背中のまるくなったお父様は、感激のあまり大粒の涙を流していました。
大きな背中が小刻みに震えていました。
ご披露宴では、「(入院中で)お酒飲めないけど、飲んじゃおうかな~!」
と終始冗談をいいながらのお食事。
お料理は、ご自分でほとんど召し上がっていましたが、お肉を少しだけカットして差し上げたり、
遠くのパンを手元に寄せたりと少しだけお手伝いをしました。
ご披露宴の途中、ご新郎様のご家族にお酌をしたいとのご要望があり、お父様を車椅子でご案内。
「よろしくお願い致します」 ご新郎様のご親戚にも丁寧にご挨拶されていました。
また、ご自分で用意されたデジタルカメラで、
お嬢様の登場シーンやケーキカット、ファーストバイトなどの写真を撮るため、
会場内をご案内しました。
何度も何度も、嬉しそうに、楽しそうに、シャッターを押すお姿がとても印象的に残っています。
お開きまで、にぎやかに、そしてご家族・ご親戚との時間を楽しまれているご様子でした。
お嬢様の感謝のお手紙の際には、再び腕の力を振り絞り、車椅子から立ち上がられました。
私達スタッフもしっかりとお背中を支えます。
お父様は大粒の涙を流していましたが、最高のうれし涙でした。
お帰りは再び介護タクシーにて。最後までお疲れの様子はなく病院まで戻られました。
お着替えをお手伝いし、再びベッドへ。
「ありがとう、あなた達の名前ここに書いていってよ」
そうおっしゃって、くつろいでいるお父様のサイドテーブルの名刺に名前を記し、
デジタルカメラをそばに置き、ご挨拶をして退室。
一日あっという間でしたが、お父様の笑顔を、沢山のうれし涙を見ることができて、
私達スタッフにとっても本当に感激の一日でした。
後日、とっても素敵なお手紙と、おいしいお菓子を頂戴しました!!
スタッフ全員感激です!!
本当にありがとうございました。
ご高齢で車椅子、お手洗いの心配、当日は家族が忙しくお世話ができない
12:00 お式場でお待ち合わせ 19:30 お帰りの車にお乗り頂きお見送り |
お手伝いさせて頂いた新婦様のお祖母様は、
お孫様の結婚式に出席する事をずっと迷ってらっしゃいました。
新婦様のお母様からケアエスコートのお申込を頂いたのは夏。
「出席したい」「式だけ出られればいいわ・・」「ご迷惑になるからやっぱり欠席で」
お申込を頂いてからも、お祖母様のお気持ちは揺れているご様子。
新婦様のお母様もどうしたら良いか・・と、悩んでらっしゃいました。
お式の約1ヶ月前、
新婦様のお母様とお祖母様にお会いしにご自宅へ。
明るい声と笑顔で迎えて下さるお母様とは反対に、
静かに椅子に座られ小さな声で挨拶をして下さるお祖母様。
出席することは決めたけれど、表情は少し曇っているような。
お打合せでは、新婦様との想い出やお祖母様のお生まれ、
ご家族の事なども話題にしながら進めて行きました。
お身体のことやご体調、ご不自由なこと、何が一番ご不安か、
などお伺いしているうちに、体力や体調のご不安、お手洗いの心配などはもちろん、
ご家族や周りのゲストの方に助けてもらいながらのご出席を
とても気にされていることが分かりました。
「当日は私達が常にお側にいて、
お手伝いさせて頂きますのでご安心くださいね」
「お困りごとやご希望はご遠慮なく仰ってくださいね」
お打合せ中、何度もお伝えした言葉。
お打合せが終わる頃には、
私達とお祖母様の距離も少し縮まって、
表情も柔らかく口数も増えたように感じられたけれど、
やさしくて気を遣って下さるお祖母様だから、本当のお気持ちは分からずで。
でも、後日頂いた新婦様のお母様のメールには、
「スタッフさんがわが家へお越し頂いて、母はすっかり安心した様子です。
当日をとても楽しみにしています!」
と、お祖母様の嬉しいご様子を教えてくださいました。
私達が事前にお会いするのは、
お客様のお身体のご状態を確認したり、
当日の流れやご要望等お聞きすることはもちろんですが、
お顔をあわせて、お話をすることに意味があると思っているからです。
お会いして、お客様の声から、表情から、動きから、
初めて感じ取れるお気持ちがあるからです。
楽しみな気持ちはより楽しみに、
ご不安やご心配は少しでも軽くなるように。
時には、「大丈夫、出席できますよ」と、背中を押す最後の一手になれるように。
それがお会いする意味でもあるんだと、
新婦様のお母様のメールを見ながら、改めて実感しました。
お式当日、本当に嬉しそうな笑顔で新婦様のお姿を見つめるお祖母様が、
今でも私達の目に焼き付いています。
お式当日、私達がお式場入口でお待ちしていると、
新婦様のご両親とお祖母様の3名が乗った介護タクシーがご到着。
車から降りてくるお祖母様は、やっぱり少しだけご不安そう。
私達は笑顔でご挨拶し、美容室の予約時間までは、2Fのお控室でお話をして待ちました。
新婦様のお話になると、とても嬉しそうで、
時おり涙ぐまれてはハンカチで目元を拭われるお祖母様のお姿に、
「今日お祖母様がご出席出来て本当に良かった・・・・」と、
私達はすでに胸がいっぱいでした。
美容室へご案内する前に1Fの多目的お手洗いへ。
最初の一歩の足が出にくいので、車椅子をお手洗いギリギリまでつけてご移動をお手伝いしました。
美容院でのヘアセット後は更衣室にてお着替え。
お着替えをしながら、
「そのヘアスタイル、とっても素敵ですよ!」「よくお似合いです!」と私たちがお声掛けすると、
「そう?ありがとう」と鏡を見ながら嬉しそう!
ご不安な表情はいつしかなくなり、明るい笑顔が見られました。
ご親族紹介、お写真ともお控室の隣にあるチャペルにて。
チャペルでは車椅子からお椅子へご移動。
私達スタッフは後ろで待機していましたが、全員起立する場面ではお祖母様も立とうとされるので、
そっと近くに駆け寄りお身体をお支えしました。
本当にお幸せそうな新婦様の笑顔は、お祖母様にとって、どれだけ嬉しいものだったか。
お式中何度となく目元を拭われるお祖母様の後ろ姿を見ていると、それがとても強く伝わってきました。
ご披露宴は、1Fの会場にて。
車椅子のままテーブルのお席へご案内。
私達スタッフは少し離れた場所でお見守りしながら、
お皿やカトラリーを食べやすい位置に動かしたり、お薬を飲んで頂いたりなどのお手伝いや、
こまめにお声掛けし、より楽しんで頂けるような会話づくりを心がけました。
プロフィールビデオをご覧になりながら、新婦様の懐かしいお写真が写るたび、
お顔が綻ぶお祖母様を見ていると、私達もとてもあたたかい気持ちになりました。
ご披露宴のお開き後、新婦様から「おばあちゃんと写真が撮りたい」とのご希望が。
新郎新婦様の真中にお祖母様をご案内すると、
車椅子のお祖母様にあわせて新郎新婦様も腰をおろして下さいました。
「おばあちゃん、今日は来てくれてありがとう!」
少し恥ずかしそうなお祖母様でしたが、この日一番の、とても優しい笑顔が見られて、
新婦様もとても嬉しそうでした。
お帰りの車をお見送りする頃には、あたりもすっかり暗くきっと寒かったはずなのに、
幸せな余韻があったかくしてくれた帰り道でした。
後日新婦様のお母様から、
「ケアエスコートさんは、本来私が母にしてあげたかった事をして下さって、とても有難かったです。
申し訳ない気持ちでしたが、今日は甘えちゃえ、と思ってお任せしました。
おかげで母も喜んでいたし、私も安心して過ごせました!」
と嬉しいお言葉を頂戴しました。
お手伝いさせて頂くご本人に寄り添ったケアをするのはもちろん、
ご本人を想うご家族様のお気持ちもしっかり汲み取ることの大切さを、
改めて実感致しました。
ご結婚式は人生の中でも特別幸せな日だから、どなた様も何の心配もなく、
幸せなお気持ちだけ一杯に過ごして頂きたいです!
お祖父様:車椅子、手のお力が弱く、お手洗い、お食事などお手伝いが必要
お祖母様:寝たきりで車椅子、ご気分が変りやすい
お祖父様 お祖母様 10:00 ホテルでお待ち合わせ、 |
お祖父様、お祖母様の、お2人でのご出席でしたので、 スタッフは3名でお手伝いさせて頂きました。ホテルのお部屋でお祖母様のお仕度を終え、控え室に向かうと、 ちょうどご入居先からお祖父様もご到着されました。
お祖父様、お祖母様の車椅子を並べてお停めすると 息子様が近くにいらっいました。 お祖父様の頬に手をあて「お父さん、かっこいいよ!」と嬉しそう。 それまで緊張気味だったお2人の表情にも笑顔が見られました。
新郎新婦様がお控室へ入って来られると、 お祖父母様は顔を上げて新婦様をじっと見つめてらっしゃいます。 口数の少ないお2人だけれど、 「お孫様とってもお綺麗ですね!」とお声掛けすると、 うん、と頷かれ、幸せそうに新婦様を見守ってらっしゃいました。
挙式会場の神殿へは、お祖父母様とも車椅子のままご案内。 私たちスタッフは、お2人の後ろに並んで座り待機。
挙式中は、特にお祖母様のご様子をこまめに確認し、 ご気分が変わりそうな様子の時は、 「お孫様はあちらですよ」「あともう少しで終わりますよ」など 小声でお声掛けしていました。
ご披露宴までの時間は、 2名のスタッフでお祖父様のお手洗いのお手伝い、 1名はロビーでお祖母様とお話しながら過ごしました。
ご披露宴では、お祖父様・お祖母様の隣りにそれぞれスタッフが1名ずつ座り、お手伝いしました。
ご披露宴開宴の頃には、お祖母様はだいぶお疲れのご様子でしたが、 それでも新郎新婦様が入場されると、 手元で小さく拍手をされていました。
お祖父様はスタッフと話しながら、 とても楽しそうに手を叩いてらっしゃいました。
お祖父様には、お料理を小さくお切りしたり、 つかみにくいお料理をスプーンやフォークにお乗せしました。お祖母様はとても小食なので、 食べられそうなお料理をごく小さくお切りして、お口まで運ぶことなどお手伝いさせて頂きました。
途中、お祖母様にかなりお疲れのご様子が見られたので、 「ご休憩されませんか」とお声掛けし、 スタッフ2名が付き添いホテルのお部屋へ。 (残りのスタッフ1名は会場に残り、お祖父様のお手伝い)
フォーマル着から私服に着替え、ご披露宴おひらきまでお休み頂くと、 少し楽になられたのか、表情が和らぎました。
「今日は、行けるとは思ってなかったから、少しでも出席できて嬉しいわ・・・」
不意に出たお祖母様の一言で、何だか胸が熱くなりました。
お祖父様は、ご披露宴のお開きまでご出席する事ができました。エンドロールのビデオでは、 新婦様の小さい頃のお写真が出ると、 「○○ちゃんだ!!」ととても嬉しそうにご覧になっていました。
お祖父様、お祖母様の介護タクシーがそれぞれホテル正面玄関に到着。 息子様とお祖母様を乗せた介護タクシーが発車すると、 車の中から手を振って下さってるお祖母様の姿が見えました。
「もっと疲れないような工夫ができたのでは・・」
「本当は会場で最後までご覧になりたかったのでは・・」
私達の中で、もっと、もっと、という気持ちがありました。でも、 手を振るお祖母様の姿がそのモヤモヤを消してくれたような気がしました。
お祖父様とスタッフ1名の乗った介護タクシーも手を振って見送りました。 そのお姿を見ながら、お祖父様もお祖母様も、揃って無事にご出席できたこと、喜んでいただけたことで、安堵と嬉しさが、 こみ上げてきました。
そこにいて欲しい人がいる結婚式。 色々な事情で叶わないこともあると思うけれど、 諦めて欲しくないな、と切に思った一日でもありました。
ご高齢で、歩行にご不安と、式場で迷われてしまうことをご心配。
9:00 お式場でお待ち合わせとメイク |
お式場の入り口でお祖母様をお出迎えしました。
スタッフ二人でお祖母様のお身体を支えながら、ゆっくりと車から降りて頂きました。
まずは、親族控室へご案内。
既にお集りのご家族様にご挨拶してから、更衣室にてメイクのお手伝い。
髪を整え、真珠のネックレスと指輪を着けてから、受付、そしてチャペルへ
挙式の際は、車椅子からお降り頂き、チャペルのお椅子へご移動。
車椅子を通路の壁に寄せて置き、お祖母様にお膝かけをおかけしてから、私たちは後ろの席で待機。
挙式後は外のガーデンにてフラワーシャワー。
車椅子でもよく見えるようにと、式場のスタッフ様が一番前へお祖母様をご案内くださったので、
お祖母様もとてもお喜びでした。
お手洗いへご案内してから、ご披露宴会場へ。
車椅子からお降りになり、会場のお椅子へご移動。
私たちはお祖母様のお隣と前にそれぞれ座らせて頂き、
ご披露宴が始まるまで、お話をして過ごしました。
司会の方のアナウンスがあまり聞こえていないご様子でしたので、
「もうすぐ始まりますよ」
「あちらから新婦さまがいらっしゃいますよ」
と耳元でご案内。
お祖母様も新郎新婦様を笑顔と拍手で迎えられ、ご披露宴の開宴です。
お食事は、見守りさせていただきながら、ある程度ご自分のペースで召し上がり、
召し上がり方に迷うお料理の時に、お手伝いさせて頂きました。
ケーキカットの際は、お祖母様の手を引き一番前のスペースへ。
新婦さまもお祖母様に気づかれて「おばあちゃん!」と
嬉しそうな笑顔で声をかけてらっしゃいます。
歓談タイムでは、お祖母様が新郎新婦様の真ん中に座られてお写真の撮影。
新婦様のお近くがよほど嬉しくていらっしゃるお祖母様、
お写真が終わってもずっとその場を離れようとされません。
新婦様も思わずわらってしまうお祖母様のそんなお姿を、
ご家族も周りのゲストの方も私達もそっと見守り、
会場はあたたかい雰囲気に包まれました。
頃合いを見計らって、「そろそろお席へ戻りましょう」とお声をかけに行き、
再びお祖母様の手を引いてお席へ戻りました。
お席に戻ってからもずっとお幸せそうなお祖母様のお顔を見る度、私達も嬉しくなりました。
ご披露宴のお開き後は、更衣室にてお着替えのお手伝い。
お手洗いにご案内してからタクシーにて一緒にご自宅へ。
久しぶりの長時間の外出で少しお疲れのご様子でしたので、
タクシーからお部屋まではお身体を支えながらのご移動。
お祖母様をお部屋までお連れしてから
お荷物運んだり、整理したりのお手伝い。
ベッドに腰かけてらっしゃるお祖母様にご挨拶すると、
「今日はありがとうね。おかげさまで無事行って来られました」と
ご安心されたように穏やかな口調で仰ってくださいました。
「ありがとう」は一番うれしくて、ホッとする言葉。
そして、私たちの方こそ「ありがとうございました」と心から思います。
涙が出るくらい、こんなに幸せな気持ちにさせて頂いているのですから。