車椅子、長時間の外出にご不安がある
12:30 ご自宅でお着替え、メイクのお手伝い |
私たちがご自宅に伺うと、お祖父様が笑顔で玄関のドアを開けて下さいました。
そのまま、お祖父様に案内していただき、リビングへ入りました。
そこには、すでに昼食を終えられて車椅子に座わっていらっしゃるお祖母様。
静かにお茶を楽しんで、微笑んでいらっしゃいました。
「本日はお孫様のご結婚、おめでとうございます!」と私達がご挨拶すると、
お祖父母様が同時に「どうもありがとう!」ととても嬉しそう!
お身体のご不安からご出席を迷われていたお祖母様でした。
この日も少しご緊張されているご様子でしたが、「お孫様のドレス姿楽しみですね!!」と、お声掛けすると、「そうね~ 楽しみだわね~」と、明るい声で笑顔になられたので私達もホッとしました。
リビングからお部屋へ移動して、お祖母様のお仕度を始めました。
久し振りにお召しになるというお花の刺繍が入ったニットは、お祖母様にとても良くお似合いでした。
ズボンのお着替えのときは、スタッフ1名がお祖母様を正面からお支えして立って頂き、もう1名がズボンの着脱をお手伝いしました。
ご負担がないようにゆっくりゆっくり、お声掛けしながらお仕度です。
メイクのお手伝いを始めると、「誰かに顔をいじってもらうなんて自分の時(結婚式)以来だわ~」と、とても恥ずかしそうに笑ってらっしゃるので、私達もつられて笑います。
ご様子を見にいらっしゃったご主人も「楽しそうだね」とニッコリ。
時間通りに介護タクシーがお迎えに来たので、お祖父母様と私たちスタッフ2名でお式場へ向かいました。
お式場の2Fの車寄せで介護タクシーを降り、親族控室へご案内しました。
既に新婦様のお母様や弟様などが入室されていて、お祖父母様を温かくお迎えして下さいました。
お部屋の一番奥にお祖母様の車椅子を停め、ご親族紹介まで少し歓談されました。
お祖母様は、初めての場所で、人の多さに少しご不安になられたのか、「あなたたちは、まだいてくれるの?」とご不安そうに仰いました。
「大丈夫ですよ、ご自宅に戻るまでずっと私たちもいますよ」とお伝えすると、笑顔で頷かれました。
ご親族紹介の時は、私達はお部屋の外で待機しました。
その後、車椅子を押してエレベーターで3階に上がり、チャペルへご案内しました。
間もなくしてご親族写真のため新郎新婦様がチャペルへいらっしゃると、お祖母様は車椅子から身を乗り出し、何度も何度も新婦様の方をご覧になっていました。
お祖母様はお式だけのご出席だったので、お式の後に少しでもお祖母様と新婦様がお話しできる時間があればいいな、と私達は密かに願っていました。
挙式後はテラスでのウェルカムパーティー。
フラワーシャワーのときは、間近で新婦様をご覧になることができて、お祖母様はとても嬉しそうでした。
ドレスにそっとかけるように花びらを手放すお祖母様の姿には、新婦様を想う優しい愛情を感じて、私達もあたたかい気持ちになりました。
ウェルカムパーティーの終わり間近、私達は式場スタッフさんに、新婦様とお祖母様でお写真を撮って頂きたいと伝えました。
お祖母様を新婦様のおそばへお連れすると、
「おばあちゃん、暑い中ありがとう!」
と新婦様からお祖母様へ、とびきりの笑顔が向けられました。
私達は離れたところで待機していたので、お祖母様の表情は分かりませんでしたが、少し目頭を押さえているように見えました。
お式後、お祖父様とご家族に見送っていただき、お祖母様と私達スタッフは一足先にご自宅へ戻りました。
帰り際に、「今日は本当にありがとう! お陰様で無事に行くことが出来たわ~ 」とお祖母様は、私達に仰って下さいました。
最初はご不安で行くことさえ迷われていたお祖母様でした。
もしかしたら本当に「行かない」という選択をされていたかもしれない・・
そうなっていたら、こんな嬉しそうなお祖母様の笑顔も見られなかったんだ・・と思ったら、今こうして拝見しているお祖母様の笑顔がとても尊くて、嬉しくて、幸せで、お手伝いできて本当に良かったと心から思いました。