車椅子、全てにおいて介助が必要、ご家族もご高齢のため十分な介護ができない
9:30 ホテルのお部屋にてお着替えなど |
まず、前日からお泊りになっているご両親の客室へ訪問しました。
お母様はベッドに腰かけて私たちを待っていて下さいました。
緊張されているのか、「昨夜はあまり眠れなった」という母様でしたが、「息子様のご結婚、おめでとうございます!」とご挨拶すると、表情がパッと明るくなりました。
新郎様がご用意下さったお洋服に着換え、メイクのお手伝いや髪を整えたりなどをしていく内に、お気持ちもほぐれてきたご様子です。
お母様の自然体な笑顔に私達も嬉しくなりました。
お控室にご案内する途中、ちょうど新郎新婦様とバッタリ。
お2人の姿を見るや否や、涙があふれるお母様に、新郎様がそっと近づきます。
お母様は新郎様の手を握りしめ、さらに大粒の涙を流されました。
チャペルのお席へは車椅子のままご案内しました。
両脇の通路は少し狭いので、バージンロードを通って、一番前のお席へ。
お式の後半、新郎新婦様とご両家ご両親が前に並ぶシーンがあると伺ったので、私たちもすぐ動けるように、一番前に並んで座らせて頂きました。
挙式中、ずっと新郎様を見つめているお母様の横顔は、窓から差し込む淡い光に照らされ、とても晴れやかに感じました。
挙式の結び、式場スタッフ様の合図でお父様とお母様を祭壇前にご案内。
車椅子をゲストの皆様の方へ向けると、「ここに新しい家族が誕生しました」という牧師様の一言でゲストの皆様から拍手が起こりました。
お母様の恥ずかしそうな、でもとても誇らしそうな笑顔が印象的でした。
ご披露会場は、窓からスカイツリーが見られる28階の会場。
お母様を車椅子のままお席へご案内しました。
お父様とお母様の間にスタッフ2名が座らせて頂き、お料理を小さく切ったり、取りやすい様にお皿を移動させたりします。
熱い物は他の器に少しづつ移して、冷ましたりなどのお手伝い。
お料理は、中華料理のコース。
お打ち合わせの際に、お母様がお好きという事もあって中華料理を選んだと伺っていました。
お母様はお料理をとても楽しみにされていて、「今日は中華なんですって」と嬉しそうです。
披露宴会場も、多目的トイレが近いからという理由で選ばれたそうです。
新郎様のお母様への心遣いが感じられて、お母様が笑うたび、私達もとてもあたたかい気持ちになりました。
お色直しの再入場・キャンドルサービスを見届けた後、お手洗いのお声掛け。
30分後には花束贈呈イベントのために会場から出ることが出来ないので、「今のうちに行きましょう」とご案内しました。
少し片側に麻痺があるので、体勢を崩して転倒しないよう、お身体を常に支えながらのお手伝いします。
お手洗い後は、披露宴会場前のロビーのソファで横になってご休憩していただきました。
少し気疲れもあってか、横になるとすぐ目を閉じられました。
お父様にもお声掛けしてお手洗いにご案内し、ご一緒にロビーの椅子で少しご休憩されました。
花束贈呈の時間になったので、お母様にお声掛けして車椅子で移動しました。
花束贈呈は、お父様、お母様に負担がかからない様にと、、新郎新婦様がお席まで来てくださいます。
私たちは、ナプキンを外して身支度を整えたり、車椅子の位置を調整して、その時に備えました。
新郎新婦様のお気遣いや、臨機応変に、そしてスマートに対応して下さる式場スタッフ様には感動です!
やがてライトが暗くなり、お父様とお母様にスポットライトがあたると、新郎新婦様が花束を持ってお席に来てくださいました。
お母様には大きな花束を手渡し、お父様には一輪の花を胸ポケットへ。
お父様は、照れ臭かったのか、胸ポケットの花をすぐ抜いてしまいます。
それを見て、おかしそうに笑うお母様、そのシーンがとても和やかな雰囲気でした。
ご送賓も新郎新婦様だけでしたので、おひらき後は、新郎新婦様にご挨拶して、早々に介護タクシーでご自宅へお送りします。
道中は、お母様はウトウトされながらも、ずっと新郎様のお話をされているお父様の声に耳を傾けていました。
ご自宅でのお着替えや荷ほどきを終え、お2人ともホッと一息つかれると、「今日は本当にありがとう!」と何度も仰って下さいました。
「何かのご縁だから、またいつか逢いたいね。」
そのお言葉がとても嬉しくて、今でも胸に響いています。