お一人は車椅子使用、お耳が聞こえづらい
もう一人の方は歩行に不安があり、当日は車椅子使用
9:00 ご宿泊先のホテルへお迎え・ご準備、お部屋の片づけ |
ご宿泊先のお部屋へお伺いすると、
お祖父様、お祖母様が並んでベッドに腰かけていらっしゃいました。
ご挨拶し、ご体調などお伺いしながら、
私はお祖父様、もう1名はお祖母様のお着替えのお手伝い。
立ち上がる時お身体を支えたり、小さいボタンをお留めしたり、
ネクタイを結んだりなどお手伝い。
お祖父様は酸素吸引していても、
急いで動いたりすると、苦しくなってしまわれるので、
「ゆっくり、ゆっくり」とお声掛けしながら。
荷物をまとめ、お部屋の整理をして、フロントへ。
ご出発前に、もう一度お手洗いのお声掛けをし、ご案内しました。
お式場に着き、お持ちした車椅子にお乗り頂き、お控室へ向かいます。
お待ちだったご家族様はホッとされたご様子。
お控室では、お茶をお勧めしたり、
ご家族様とお話しやすいように、車椅子の向きを変えたりしました。
お待ちの間は緊張され、硬い表情のお2人でしたが、
新郎新婦様が入室され、白無垢姿の新婦様を見るや否や、
一気にお2人のお顔がほころんだ瞬間を、
私たちはずっと忘れないでしょう。
ご親族紹介後のタイミングを逃すとしばらくお手洗いに行くことができないので、
お2人にご説明し、お手洗いにご案内。
スタッフそれぞれがお祖父様、お祖母様の車椅子を押しながら
参進の列をなし境内を拝殿へと進んでいきます。
前の方との距離を取りながら、
石畳なのでガタガタさせないようゆっくり進みます。
拝殿前に到着。
拝殿に入るには、1段30センチ程ある階段を5段上がらなければなりません。
(神社の決まりで、拝殿へは車椅子のまま入ることができません)
木造りで少し滑りやすくもあるので、
お祖父母様それぞれお1人ずつ、2人のスタッフでサポート。
横で1名が腕を組み、後ろで1名が腰の辺りを支え、
お声掛けしながら階段を上って頂きました。
お祖父様は携帯用の酸素も使われているので、
酸素の管が足元に絡まないようにも注意。
お1人ずつ拝殿の中のお椅子にお座り頂いてから、私達も案内された席へ。
とても厳かで暖かみのある神前式、親族杯の儀では
私達もご両家の皆さまと一緒に御神酒を頂きました。
挙式後も同じように、階段を降りるお手伝い。
上りより、降りる時の方が怖さもあるので、より慎重に。
再び、車椅子にお乗りいただき、また列をなしてのご移動。
ご披露宴会場は、晩餐スタイルで長テーブルでのお食事。
お食事前にお手洗いへご案内し、
車椅子から会場のお椅子へお移り頂く。
新婦様のお隣のお席にお祖母様、そのお隣がお祖父様、スタッフ2名と続きます。
お隣に新婦様が座られてお祖母様はとても嬉しそう。
お2人ともお食事はご自分で召し上がれるので、
お料理がとりやすい様にお皿を移動させたり、
式場スタッフ様にお飲み物をお願いしたりなどのお手伝い。
お二人とも、好きなものを好きなように召しあがると、ご家族から伺っていたので、
あまり出すぎないように、さりげなく。
お祖父様はお耳があまり聞こえないので、筆談も交えてお話。
1日を通してお2人とは色々なお話をしたけれど、
新婦様との想い出話をされる時が一番楽しそうで、
嬉しそうで、幸せそうでした。
ご披露宴の後半、「かわいい孫のために歌います」と民謡を歌われたお祖母様。
そのお隣でお祖母様を優しく見つめ、手拍子しながら、
新婦様は聞いてらっしゃいます。
新婦様への愛情がたくさん込められたお祖母様の歌声に、
涙されている方もいらっしゃいました。
お開きが近づき、新婦様が涙ながらによまれたご両親へのお手紙。
お祖父様もお祖母様も、下を向いて涙を拭かれているのが見えました。
ずっと堪えていた私たちも、涙がとまりませんでした。
ご披露宴のお開き後、お手洗いへご案内してからお帰りのタクシーへお乗り頂く。
「今日は本当にお世話になったね~」と笑顔のお祖父様。
ご体調が不安定で、もしかしたらご出席できないかもと
最初新婦様が心配されていたけれど、
お祖父様、お祖母様がそろってご出席できて本当に良かったと、心から思いました。
出発する車に手を振りながら、フワフワした幸せの余韻と、
ご家族皆様の幸せな日にお手伝いさせて頂ける喜びで、
また涙が出そうになりました。