歩行機で生活されているご祖母様 以前ご親族の結婚式の最中に体調を崩されてしまい、今回も心配、結婚式の間はケアが必要 送迎の車の手配が心配
7:30 結婚式場正面玄関で待ち合わせ |
結婚式の約一か月前、お申込みをいただいてから、すぐの事でした。室内でバランスを崩され、わき腹を殴打したとのご連絡がありました。
当日大丈夫か・・私たちは、不安の中で1か月を過ごしました。
幸い、日に日に良くなられて、当日は、姿勢によっては少し痛むようでしたが、歩行は問題なく行えるようになっていました。
車椅子は普段使われていませんでしたが、当初から車椅子を借りるご予定を立てていらっしゃいました。お陰で、ご祖母様の歩く距離が減り、挙式・ご披露宴を存分に楽しんでいただくことが可能になりました。
式場玄関でお待ちしていると、お元気で、はつらつとしたご祖母様がいらっしゃいました。他のご親戚が到着すると、ご祖母様のまわりには明るい雰囲気がひろがります。
その後、ヘアメイクサロンへお連れしました。明るいピンク系のメイクが、とってもお似合いで、髪もふんわり良い感じです。
親族紹介では、新郎新婦が入ってくると、新郎が嬉しそうにご祖母様に向かってこられました。
「おばあちゃん、よく来てくれたね。ありがとう!」
ご祖母様も何とも言えない良い笑顔です。
チャペルでは、車椅子から降りてベンチに座ります。
一番前列で良く見える位置です。
新郎新婦の入場になりました。皆さんは起立しています。ご祖母様も二人を祝福をするために、頑張って立ち上がりました。
とてもアットホームな温かい結婚式です。
披露宴では、会場スタッフの方が、ご祖母様と私たちに、声を掛けてくれます。心地の良い、ゆったりと時間が流れる、披露宴。
お料理もとても楽しまれました。
デザートビュッフェでは、キレイに飾られたデザートを前にして感動していました。ご自分で選ぶ楽しさも味わって、和菓子をチョイスされました。
この日一日、お孫さんや曾孫さんに囲まれ、本当に幸せそうでした。
ご病気で、結婚式に参加できないと考えていらっしゃいました。
10:30 会場で待ち合わせ |
10:30に、アニヴェルセルの正面玄関にて、迎えしました。そのあと、1Fのプライベートルーム、お化粧室へとお連れし、お洋服の確認をさせていただきました。
11時すぎに、サロンにて ヘアセット、そして、プライベートルームでお着替え。ドレスの上にジャケットをはおられ、コサージュやネックレス、イヤリングで華やかに。
親族控室に移動し、そのあと、親族紹介と写真撮影になりました。
その後、チャペルへ。挙式のあとは、フラワーシャワーと写真撮影です。ご披露宴では、車椅子でしたが、すべてのテーブルご挨拶に行かれました。
実は、私たちは、「途中でご休憩を1時間近くは、はさまないとお疲れになるはず、ご披露宴も全部はご参加できないのでは」と心配していました。
でも、新郎新婦様の中座後に、ほんの少しだけ休憩室にお立ち寄りになった程度で、送賓までほぼ全部のイベントを成し遂げられました。
その一瞬だけ立ち寄った休憩室では、、静寂の中で、「ホッとするわ・・」とおっしゃっていました。でも、「横になっちゃうと、そのまま眠っちゃいそう・・。」と、ぽつりと呟かれ、5分も休まずに、ご披露宴会場へお戻りになられました。
最初にお会いした時、「結婚式には行けないだろう」と考えていらしたそうで、ドレスはすべて処分してしまったとお話しくださいました。
息子様のご結婚が決まった後も、結婚式への参列は、半ばあきらめていたとのこと。でも、ご主人様や息子様の立っての願いがあって、結婚式への参列を実現しようとされました。そのハレの日、ご新郎様を目の前に、ご成長を見守っていらしたお母さんのまなざしには、安堵感が満ちあふれていました。
この日をお手伝いさせていただいたことは、私たちの大きな糧となりました。本当にありがとうございました。
初めての場所での移動やお手洗いが心配、当日は家族が忙しくてお世話できない
8:45 ご入居先へお迎え |
お式当日の朝、私たちはご入居先までお迎えにあがりました。
おばあ様は朝食を召し上がったあとで、リビングでくつろいでいらして、笑顔で私たちを迎えて下さいました。
「本日はおめでとうございます!」とご挨拶すると、笑顔がもっと素敵な笑顔になりました。
お部屋に戻り、お着替えとお化粧のお手伝いです。
お話好きのおばあ様でしたので、お洋服の話からアクセサリーの話まで、面白おかしく、時には茶目っ気たっぷりに、私たちに冗談を交えお話しくださいました。
お化粧をされた後、鏡をつくづくとご覧になり、「あら!!」と、ご自分でもびっくりされた表情。
お部屋から出ると、ご入居先のスタッフさんも「あら、素敵ですね!!写真一緒に撮りましょうよ!」
とおばあ様を囲みました。
私達がシャッターを押します。
まだお若いおばあ様で、シャンパンゴールドのお洋服がとてもお似合いでした。
おばあ様は普段は車椅子を使われないので、会場までは普通のタクシーで移動しました。
ご移動中は、「あまり出かけないから、外を見ているのが楽しいわ」と、
とても嬉しそうに話されました。
長い距離をお歩きになるのは少し不安定なご様子です。
お式場に到着後は、おばあ様と私達スタッフと手をつないで歩いてチャペルへ移動しました。
挙式では、ずっと立っている事も大変なはずのおばあ様が、新婦様の入場のときに、ゆっくりと立ち上がられました。
私たちスタッフはさり気なく、おばあ様のお背中をお支えして見守ります。
必死に新婦様を見つめるおばあ様の目から、静かに涙が流れました。
「結婚式が済んでも、たとえそれが何年経っても、何十年経っても、お互いがお互いを助け、信じ、そして愛し合いましょう。」
神父様のひとこと一言にうなずかれるおばあ様。
とても深い言葉が参加者やゲスト全てのスタッフの胸にも響いているようでした。
挙式後は、チャペル外階段にてフラワーシャワー。
曇り空をかき消すような華やかなフラワーシャワーです。
おばあ様は目の前を通る新婦様にサッとお花を舞い上げました。
新婦様はそれに気づき、笑顔を見せてくださいました。
そして一番最後に、新婦様・お母様・おばあ様の3ショットでの撮影です。
少しだけ緊張しているようでしたが、凛とした表情でカメラをみつめました。
チャペルからご披露宴会場のイタリア館までは歩いて10分ほどです。
「大丈夫、歩けるわ」とおっしゃるおばあ様。
お疲れにならないか心配していると、お式場のスタッフ様が車椅子を用意して下さいました。
おばあ様に車椅子にお乗りいただき、会場へ移動しました。
少し幅の狭い、石畳の道が続きます。
車椅子をお貸しくださったお式場のスタッフ様に感謝です!
ほどなくしてイタリア館に到着。
常に明るく、お疲れを見せないおばあ様でしたが、ご披露宴では少しだけ椅子の背もたれに寄りかかりました。
背中をさすると心配させまいと笑顔をみせてくださいます。
私達もあまり心配な顔をしないように、笑顔で返しました。
おばあ様のお隣に座らせて頂き、お肉やパン等食べにくそうなお料理をカットするなどお手伝い。
ウエディングケーキやデザートビュッフェでは、沢山召し上がっていました。
披露宴も終盤、演出で感極まったおばあ様は、少しだけ大きな声でお孫さんとお嫁さんの名前を呼びました。
感極まって、涙があふれて止まらないといった感じです。
サッとハンカチをお渡しし、背中をさすって差し上げます。
真っ赤な顔をして涙を拭いたおばあ様は、とてもかわいらしく感動的でした。
ご本人にもその瞬間がしっかりと記憶に焼き付いたのではないかと思います。
お帰りのタクシーでは、もう少しあの場に居たかった・・という思いからか、少しだけ寂しそうな感じでお話をされていました。
激しくなった雨は、おばあ様の心を少しだけ映しているようでしたが、でも、時々見せて下さる幸せそうな笑顔は、それ以上にとても印象的でした。
車椅子、全てにおいて介助が必要、ご家族もご高齢のため十分な介護ができない
9:30 ホテルのお部屋にてお着替えなど |
まず、前日からお泊りになっているご両親の客室へ訪問しました。
お母様はベッドに腰かけて私たちを待っていて下さいました。
緊張されているのか、「昨夜はあまり眠れなった」という母様でしたが、「息子様のご結婚、おめでとうございます!」とご挨拶すると、表情がパッと明るくなりました。
新郎様がご用意下さったお洋服に着換え、メイクのお手伝いや髪を整えたりなどをしていく内に、お気持ちもほぐれてきたご様子です。
お母様の自然体な笑顔に私達も嬉しくなりました。
お控室にご案内する途中、ちょうど新郎新婦様とバッタリ。
お2人の姿を見るや否や、涙があふれるお母様に、新郎様がそっと近づきます。
お母様は新郎様の手を握りしめ、さらに大粒の涙を流されました。
チャペルのお席へは車椅子のままご案内しました。
両脇の通路は少し狭いので、バージンロードを通って、一番前のお席へ。
お式の後半、新郎新婦様とご両家ご両親が前に並ぶシーンがあると伺ったので、私たちもすぐ動けるように、一番前に並んで座らせて頂きました。
挙式中、ずっと新郎様を見つめているお母様の横顔は、窓から差し込む淡い光に照らされ、とても晴れやかに感じました。
挙式の結び、式場スタッフ様の合図でお父様とお母様を祭壇前にご案内。
車椅子をゲストの皆様の方へ向けると、「ここに新しい家族が誕生しました」という牧師様の一言でゲストの皆様から拍手が起こりました。
お母様の恥ずかしそうな、でもとても誇らしそうな笑顔が印象的でした。
ご披露会場は、窓からスカイツリーが見られる28階の会場。
お母様を車椅子のままお席へご案内しました。
お父様とお母様の間にスタッフ2名が座らせて頂き、お料理を小さく切ったり、取りやすい様にお皿を移動させたりします。
熱い物は他の器に少しづつ移して、冷ましたりなどのお手伝い。
お料理は、中華料理のコース。
お打ち合わせの際に、お母様がお好きという事もあって中華料理を選んだと伺っていました。
お母様はお料理をとても楽しみにされていて、「今日は中華なんですって」と嬉しそうです。
披露宴会場も、多目的トイレが近いからという理由で選ばれたそうです。
新郎様のお母様への心遣いが感じられて、お母様が笑うたび、私達もとてもあたたかい気持ちになりました。
お色直しの再入場・キャンドルサービスを見届けた後、お手洗いのお声掛け。
30分後には花束贈呈イベントのために会場から出ることが出来ないので、「今のうちに行きましょう」とご案内しました。
少し片側に麻痺があるので、体勢を崩して転倒しないよう、お身体を常に支えながらのお手伝いします。
お手洗い後は、披露宴会場前のロビーのソファで横になってご休憩していただきました。
少し気疲れもあってか、横になるとすぐ目を閉じられました。
お父様にもお声掛けしてお手洗いにご案内し、ご一緒にロビーの椅子で少しご休憩されました。
花束贈呈の時間になったので、お母様にお声掛けして車椅子で移動しました。
花束贈呈は、お父様、お母様に負担がかからない様にと、、新郎新婦様がお席まで来てくださいます。
私たちは、ナプキンを外して身支度を整えたり、車椅子の位置を調整して、その時に備えました。
新郎新婦様のお気遣いや、臨機応変に、そしてスマートに対応して下さる式場スタッフ様には感動です!
やがてライトが暗くなり、お父様とお母様にスポットライトがあたると、新郎新婦様が花束を持ってお席に来てくださいました。
お母様には大きな花束を手渡し、お父様には一輪の花を胸ポケットへ。
お父様は、照れ臭かったのか、胸ポケットの花をすぐ抜いてしまいます。
それを見て、おかしそうに笑うお母様、そのシーンがとても和やかな雰囲気でした。
ご送賓も新郎新婦様だけでしたので、おひらき後は、新郎新婦様にご挨拶して、早々に介護タクシーでご自宅へお送りします。
道中は、お母様はウトウトされながらも、ずっと新郎様のお話をされているお父様の声に耳を傾けていました。
ご自宅でのお着替えや荷ほどきを終え、お2人ともホッと一息つかれると、「今日は本当にありがとう!」と何度も仰って下さいました。
「何かのご縁だから、またいつか逢いたいね。」
そのお言葉がとても嬉しくて、今でも胸に響いています。
高齢で車椅子、挙式中だけでなく新幹線での行き帰りも心配
9:00 ご入居先でのお仕度など |
お手伝いさせて頂いたのは、新郎の95歳を超えるお祖母様。
新郎様が「他県にいる祖母にも出席して欲しい」と願い、ケアエスコートにご依頼下さいました。
車椅子での移動、何よりご高齢のこともあり、片道1時間以上の新幹線に乗ってのお出かけは、さぞご不安でしょう・・と思っていました。
でも、事前のお打ち合わせでお祖母様からお話を伺うと、とにかくお式が楽しみで、新郎様に会えることを心待ちにしているご様子でした。
「何かご不安な事はありますか?」と私がお聞きしても、
「何もありません!楽しみなだけです!」
と満面の笑顔でお答えくださいました。
お式当日も、お祖母様は、お打ち合わせの時と変らぬ明るい声で私達を迎えて下さいました。
お祖母様、伯母様、スタッフ2名で介護タクシーにて駅へ向かいました。
車椅子で新幹線に乗る際は、改札から新幹線に乗るまでを駅員さんが誘導して下さいます。
駅では、たくさんの人が行き来するので、「車椅子通ります」と声掛けしながら進まないと、人にぶつかってしまって危険です。
駅員さんの後ろに付きながら、車椅子押す私たちの手も慎重になります。
新幹線へ乗り込み、お席へ案内しました。
車椅子用のスペースは、車椅子のままお乗り頂けるように、一座席分スペースが空いています。
お祖母様をそちらにご案内し、隣は伯母様です。
私たちスタッフはお2人の前の座席に座りました。
お席に着くと、さっそく駅弁を召しあがるお祖母様。
私たちはエプロンやスプーン、お手拭きなどご用意すると、「美味しい!」とたくさん召し上がっていらっしゃいました。
東京駅に着き、介護タクシーにて愛宕神社へ。
皇居や日比谷公園など、車中から見える景色と運転手さんのガイドを聞きながら、お祖母様もお疲れのご様子なく、楽しまれていました。
愛宕神社へ到着したらすぐに、お控室になる茶店へご案内しました。
境内は砂利道が多く、車椅子のタイヤが沈んで移動しづらいので、平らなコンクリートの道を選び、移動しました。
茶店入り口にも段差があるので、前と後ろにスタッフが付き、持ち上げるように上がります。
茶店に着くと少しお疲れのご様子で目を閉じてらしたお祖母様ですが、
「お母さん、良く来てくれましたね!」
と新郎様のお母様や新郎様の妹様が笑顔で入ってこられると、とても嬉しそうに笑ってらっしゃいました。
挙式までまだお時間があったのでお手洗いへご案内。
茶店のお手洗いは車椅子が入らないので、境内を少し進んだ社務所裏のお手洗いへ。
段差や凹凸のある道、車椅子がギリギリ通れる通路など、1名のスタッフが前で先導し、もう1名はゆっくり車椅子を進めて行きました。
お手洗いは手すりがないので、スタッフが前から支えるように立って頂きながらお手伝いします。
お手洗いをずっと遠慮されていたのか、「どうもありがとう」とお祖母様も少しホッとされたご様子。
口紅を塗り直すお手伝いをしてから神殿へと向かいました。
神殿前の鳥居には20センチ以上の段差があるので、お祖母様は別ルートでご案内。
神殿内に車椅子のままお祖母様をご案内し、私たちは挙式中は神殿の外で待機です。
間もなくすると、新郎新婦様とご両家のご両親が参進され、神殿内へ入られました。
お祖母様が頭を上げて、じっと御神座の新郎新婦様を見つめている後姿。
ずっと楽しみにされていたお孫様のご結婚式。
100歳も近いお身体で、新幹線や車での移動など、片道3時間以上もかけていらっしゃったお祖母様。
やっと会うことが出来た新郎様のお姿に、お祖母様は今どんな想いでいるのかな・・と思ったら、自然とこみ上げてくるものがありました。
挙式後、神殿内での集合写真のあと、新郎様のもとへお祖母様をご案内しました。
「おばあちゃん、今日は本当にありがとう!」
新郎様が、お祖母様の手を取り、優しくお声をかけると、
「おめでとう・・おめでとう・・」
とお祖母様も新郎様の手を取り、愛おしそうにご自分の顔の前でぎゅっと握られました。
何度も「おめでとう」と仰るお祖母様の目には、たくさんの涙が溢れていました
挙式だけご出席のお祖母様と伯母様は、東京駅へ向かうため、再び介護タクシーへ乗り込みました。
とても幸せそうな、でも少し寂しそうなお祖母様のお姿。
「来れて良かったね!」
と伯母様がお声をかけると「良かった!」と、お祖母様が笑って下さって、私達もホッとしました。
そして、介護タクシーが出発しようとした時です。
新郎新婦様が車の近くに来てくださり、お祖母様に声をかけて下さいました。
「おばあちゃん、ありがとう。気を付けて帰ってね!」
新郎様の言葉に、再び目を潤ませながらも、とびきり嬉しそうなお祖母様のお顔!!
東京駅から新幹線で帰郷。
ご入居先へ着くころにはすでに日は落ちていました。
ベッドで横になると、お祖母様はすぐお休みになりました。
とても幸せそうに眠るお祖母様にそっとご挨拶し、私たちはお部屋を後にしました。
新郎様やお祖母様、ご家族の優しさと愛情に触れた一日。
東京へ帰る新幹線の中、大好きだったおばあちゃんの事をフッと思い出した私です。