介護施設で生活しているご祖母様の送迎
挙式+披露宴のサポート
8:00 訪問 身支度、準備 |
お申込みをいただいてすぐに、ご祖母様のご体調がよくないとの連絡をいただき、私たちの訪問日が延期になりました。結婚式まで1週間、心配でいっぱいでした。
翌週、すっかりよくなったとのご連絡にホッとして、訪問の約束をしました。
事前訪問で、施設のお部屋に伺うと、刺し子をされていました。穏やかな笑顔です。生活の様子やお食事・薬の事を職員さんに色々と伺いました。
ご祖母様は、何もかもすぐに忘れてしまうため、娘様が「忘れないように」と、ご祖母様と私とを、一緒に写真に撮ってくださいました。
結婚式まであまり日がないので、連日のように娘様と電話でやり取りさせていただき、ご祖母様が混乱しないように、打合せを密にしました。
結婚式当日は、それまでの冬日とは打って変わり、とてもお天気の良いお日柄でした。
訪問すると、お祖母様は、ご体調も良さそうで、にっこり出迎えてくださいます。
お化粧などは、まだのようだったので、お手伝いをします。ご準備くださった、黒のドレスが良くお似合いです。身支度がきれいに整いました。
普段、室内は歩行器を使っていらっしゃいますが、当日は車椅子に乗ってお出かけです。
予約していたタクシーが到着しました。黒塗りのアルファード、食堂の窓から、手を振って見送ってくださっている方がいました。
この日は、どこを通っても桜が満開でした。
思いのほか、道がすいていたので、途中休憩をはさみ、ゆっくりと結婚式場まで向かいました。昨夜、あまり眠れなかったらしい・・と娘さんから伺っていました。
車中、静かに過ごしていただいているうちに、ゆるやかな揺れに誘われて、眠っていかれました。
式場に到着すると、打合せでお願いしてあった、プライベートルームに案内していただきました。次女様がご到着し、ご挨拶を済ませると、まもなく、親族紹介の部屋へ案内されました。
結婚式の最中は、次女様がご祖母様と一緒に行動して下さるとの事で、ご祖母様も親子の時間を存分に楽しんでいらっしゃいました。
ご祖母様も一緒に、ご家族皆さまでお出かけになることが多く、本当に仲良しで、温かい雰囲気のご家族でした。ご祖母様の笑顔がたえません。
休憩は、お化粧室の時だけで、横になることもなく、お食事もしっかり召し上がり、ご親族様とのご歓談を、結婚式を十分楽しまれていました。
時折、お忘れになったことを思い出され、「さっきは誰だか分らなかったけど、あれはうちの孫だったのよ。」と教えてくださいます。
ご祖母様に似た、クールビューティの透き通るような新婦様、本当にお奇麗でした。ご祖母様の眼にも焼き付いていらっしゃるはずです。
メゾンポールボキューズさんでは、1日1組の結婚式で貸切のため、アンティークの調度品に囲まれて、ご家族様とゆったりと時間を過ごせるのも、楽しみの一つでした。
娘様のご配慮もあり、カメラマンさんが、ご祖母様を中心に、バーラウンジなどフォトジェニックな部屋で撮影して下さり、ご祖母様も本当によろこんでおられました。
送賓の挨拶の時は、最後に並びました。
ご祖母様が、新婦様の前にくると、「おばあちゃん、ありがとう、これあげる!」。
抱えていたブーケをご祖母様にプレゼントされました。サプライズの企画でも何でもなく、お孫様の本当の感謝ですね。
タクシーの予約の時間を少し過ぎてしまいました。楽しいひと時を終え、帰路につきます。次女様ご夫婦が見送ってくださいます。
施設に戻ると「どこかへ行ってきたのかしらね?」と聞かれました。
送賓で新婦さんがプレゼントして下さった、ブーケを部屋に飾ってお見せすると、
「そう、私の孫の結婚式だったわね!」
ご祖母様の心の中には、愛情深いお孫さんの花嫁姿が、ちゃんと深く刻み込まれていました。
その後、メッセージをいただきました。
”最後まで安心して過ごすことができました。母もお姫様の様に扱っていただき満足だったと思います。細かいお願いも聞いて頂き、朝早くから遅くまでありがとうございました。”
そして、翌日、ご様子をお伺いしすると、お祖母様は、お変わりなくお過ごしのようでした。
私たちが、少しでもお役にたてたこと、本当にうれしいです!
こちらこそ、本当にありがとうございました。
ご病気のため、意思疎通が難しいかもしれない。施設への送迎と挙式の参列をサポートしてほしい。
7:15 着替え・ひげそり・朝食介助・服薬確認 |
ご新郎のお父様のエスコートでした。
ご新郎より、メールで、介護度5で介護施設で生活していますが、依頼できますか?とのご相談でした。早速、日程を決めて、施設へご挨拶に伺います。
お会いした時、息子様の結婚式について、あまりご存知ではないご様子でした。
ケアマネージャーによると、全介助が必要で、意思疎通は難しいご状態とのことです。ご体調は安定しているので、挙式だけの参列だったら、それほどお疲れはないだろうとの事でした。
結婚式1週間前の打ち合わせで、結婚式当日は、外出にかかわる準備をしていただけることになりました。また、当日私たちが訪問するのは、早朝になり、施設職員さんが、かなり忙しい状況とのこと。お父様は眠っているかもしれないので、起床の声掛けは、私たちで行うことになりました。
結婚式当日、部屋へ伺うと、すでにお目覚めで、車いすに座っていらっしゃいました。
顔色も良く、先日と打って変わって、晴れやかな、そして、きりりっとしたお顔で迎えてくださいました。職員さんと、申し送りを行い、朝の薬を受け取ります。
髭を剃り、スーツへ着替えると、素敵な新郎のお父様です。そして、とてもうれしそうです。よかった!!
準備してきた朝食を召し上がっていただき、服薬も終わりました。
施設の正面玄関で、新郎のいとこ様と待ち合わせていたので、少し早めに、ホテルへ向かいました。
横浜方面に向かう道程、いとこ様の話では、新郎のお父様が車で良く通っていた道、との事でした。お父様は、時折、外の景色に目を向け、少しなつかしそうに、眺めていました。
ホテルに到着しました。
時間より、やや早めですが、親族控室の4階へ直行しました。
ちょうどエレベーター前で、奥様・ご親族の皆様とお会いでき、「よくこれたね!!」と歓迎してくださいました。
親族控室
待っている間、さくら湯が振る舞われました。お父様は、花弁が浮いているのを目で楽しんでくださいました。花びらを取り除いてから、とろみをつけ、使い慣れたマグで、さくら湯を楽しむことが出来ました。
挙式
チャペルへ案内されます。車椅子のまま、脇の通路を通れるように、車椅子の車幅を事前にお伝えしていたので、スムーズに前列へ移動できました。
お父様なので最前列です。本当は、新郎様のお父様なので、左端にお父様はお座りになるのが通常ですが、お母様に座っていただき、その隣にお父様は車椅子着席いただきました。
「皆様、大きな拍手で・・」お父様も、拍手してくださっています。
写真撮影
新郎新婦とご家族の撮影が多くありました。お父様も嬉しそうです。
披露宴
はじめのお打合せで、挙式までで・・・との事でした。体調も良さそうなので、ご家族様のご希望で、乾杯まで参加することになりました。
私がグラスを持つお手伝いした時、お疲れがみえはじめました。少しウトウトしていらっしゃいましたが、乾杯も無事に終わりました。
披露宴会場は、ニューグランドでも人気のあるレインボーボールルームで、格調高いお部屋は「横浜市認定歴史的建造物」に指定されていて、本当に素敵でした。
雰囲気だけでも味わっていただき、また、ご家族様と一緒の時をより長く過ごせていただけ、わたしたちも幸せでいっぱいでした。
お帰りのお車の中は、ぐっすり眠っていかれました。
遠方に暮らしている、車椅子のご祖父様。道中が心配・長距離なので疲れないように出席できるか心配。
7:00 ご自宅訪問・着替えの手伝い・持ち物の確認 |
ご祖父様は、お久しぶりに電車に乗るということで、それも楽しみにされていました。でもご家族の心配の一つでした。
ご訪問すると、体調も落ち着いておられ、この日をお元気に迎えられホッとしました。
ご自宅では、お着替えをお手伝いしました。「ネクタイかあ、久しぶりだなー」と鏡に向かって手慣れた調子で結んでいきます。
時計をちらっと見せてくださいます。時間の心配をされているのかな、と思いましたら、「孫からのプレゼントなんですよ」と嬉しそうに教えてくださいました。
この日のために、毎日毎日、ご自身でも準備を整えられてきたんでしょう。そのお気持ちに思いめぐらすと、胸が熱くなります。
自宅を無事に出発します。電車内では、足を座席に乗せて、楽な姿勢をとっていただきます。次女さまが一緒でしたので心強く、道中は、ご体調は落ち着いておられます。
最寄駅に到着しました。
プラットホームでは風が冷たく、ひざ掛け2枚が役立ちます。
かなり早めに、挙式会場に到着しました。それでも、ご親戚がだんだんと到着し、歓談して過ごされました。あと30分ほどで親族紹介がはじまるという時に、1つ変更が加わりました。
本殿でとり行われる、挙式へのご祖父様の移動は、参列者とご一緒に行列を行くことになったのです。介添えの方が別について下さり、車椅子では通れない場所だけ、スロープへ誘導してくださるということでした。
本当に良いお天気で、沿道に大勢の人が花嫁行列を見ようと、集まっています。その晴れやかで厳かな場所で、同じ空間を過ごせていただけたのは、本当に良かったと感じます。
静かで荘厳な雰囲気の中で挙式が行われます。ご祖父様は、何度か、新郎新婦の方向へ、敬意を表そうと、車椅子を向けようとされています。お手伝いしながら、ご祖父様の孫を思う心が伝わってきます。
その後は、挙式会場と披露宴会場が離れていましたので、車での移動となります。
披露宴会場に到着すると、すぐにプライベートルームへ向かいました。下肢に筋肉疲労時の軟膏を塗ってから、足をベッドの上に投げ出して、休んでいただきました。
その後、突然決まった記念写真に、笑顔で「じゃあ行くか。」と参加されました。ご休憩はもうちょっとされたほうがいいのに、、、と思いながら、お手伝いしました。
外へ案内されました。見事な日本庭園です。 ご祖父様は、カメラで撮影に一生懸命です。自由な撮影スタイルで、みなさん本当に和やかに好き好きに写真を撮っています。
披露宴開宴です。
お疲れしないか、無理をされていないかと、私たちの心配はよそに、ご祖父様は、お料理を堪能していらっしゃいました。
合間で次女様に「休んでいただかなくて大丈夫でしょうかね?」と伺うと「ここにいたほうが楽しい、って言ってるから大丈夫。」。
ほぼ、参列者の皆さんと同じペースで、一日お過ごしになりました。
電車に揺られて、帰路。ご祖父様は、満足感でいっぱいの笑顔でした。結婚式というものは、日ごろとは全く違うエネルギーを与えてくれるようで、本当に不思議です。
車椅子で出席されるご祖母様の体調が心配。ご自宅にお迎えし、挙式から披露宴までをサポート。趣のある式場ゆえの段差や階段が心配。
8:00 ご自宅訪問 |
この日の朝は、天気予報が見事に的中し、雪が降っていました。タクシーの運転手さんも早めに到着し、玄関の足場が滑らないように、雪をよけてくれていました。
寒い時期なので、ご祖母様の体調が安定しているか・風邪をひいていないか、この日までずっと気になっていました。
訪問すると、ご祖母様は、晴れやかなお顔で出迎えて下さり、ホッとしました。疲れやすい方と伺っていましたので、挙式に出席が一番のご希望で、ご体調次第では、披露宴は途中で抜けることもあると考えていました。
長男様も「披露宴中に、もしかしたら、ウトウト眠っちゃうかもしれませんが、お相手に失礼じゃないですかね?」と心配そうにおっしゃっていました。
「休憩室が準備してあるので、大丈夫ですよ。」と、安心して良い事をお伝えします。
車で結婚式場に近づくにつれ、都心ではまだ雪が降っていないことに気づきます。
外は寒いですが、車内はぬくぬくしています。ご祖母様の足の浮腫がないか・暑すぎないか調整して、道中を過ごしました。
久しぶりの長距離の外出で緊張もあるのか、ご祖母様はウトウトもせずに、結婚式場に到着しました。
娘さんと相談し、ぎりぎりの到着で、スケジュールを進めていました。予定通りです。
直ぐにチャペルへ案内されました。
その時分には、都内は雪が舞いはじめ、幻想的なホワイトウェディングです。
プレパーティが室内へ変更になったので、ご祖母様も和気あいあいとしたムードを存分に味わっていました。新郎新婦とも距離が近く、ご祖母様は本当に嬉しそうです。
披露宴がはじまり、そろそろ休憩したほうが良さそうか、ご祖母様に尋ねます。
「楽しいから、ここにいます!」
ウトウトどころか、披露宴パーティでも最後まで席をはずさず出席されたのです。泣いたり、笑ったり、食べて・飲んで・拍手したり・・・本当に楽しまれていました。
わたしたちの不安が予想以上に吹き飛んで、こんなにご祖母様の笑顔がみれるとは、思っていませんでした。結婚式って本当に不思議ですね!
この式場は、テレビドラマの場面や撮影のスポットとして、とても素敵です。ただ、エレベーターはなく、石畳や階段が多く、ご高齢の方は大丈夫かしらと不安な方もいらっしゃいます。
今回は、全く車椅子から降りて歩くことが出来ない方でした。でも、休憩用のソファを下におろしてセットしたり、車椅子を抱えたりして、サポートしました。とても都心とは思えない、外国のような情緒のある式場ですので、ご出席できて本当に良かったと感無量です。
ご祖父母さまお二人での遠方からの上京で、事故などがないか心配。また、慣れない場所でご不安にならないか。
4:35 ご自宅へ訪問 |
早朝にお迎えに行くと、おじい様は、最初は「今日は何しに行くのかな? 誰の結婚式かな?」と心配そうにおっしゃっていました。でもすぐに私たちのことを頼りにしていただき、ご安心されたご様子でした。
以前は、ご夫婦二人で海外を旅行されていたそうで、お荷物もコンパクトで、コートも軽いものを選んでいらして、旅慣れたご様子でした。今回は杖と、車椅子が必要でしたが、臆するところがない、本当にお気持ちがお元気で、かっこいい、おじい様とおばあ様でした。式場に到着し、お二人の笑顔が120%になったのを見たときには、私たちも幸福で満たされました。
親族控室では、20数年ぶりに、ご親戚がお集まりになったそうで、自分のことのように嬉しく、あらためて、結婚式ってすごいなあ、家族っていいなあ・・とじわっとした瞬間でした。
親族紹介の時には、朗らかなおじい様も少し緊張気味でした。式場の方が座っても大丈夫ですよとご案内くださいましたが、今まで何組もお仲人を務められたそうで、ここは立つべき時とご判断されたのか、ご紹介が終わるまで立っていらっしゃったのには心を打たれました。
おばあ様は、美しいお孫様の花嫁姿をみて、「あの子に、あの色味とデザインは、本当によく似合っている。」と大絶賛されました。
ご新婦のお兄様が「おじいちゃん、おばあちゃん!」と駆け寄っていらしたことも本当に嬉しかったそうで、「あの子は本当に優しい、いい子だから、、、」と楽しそうに、何度も話していました。
ひ孫様(3歳くらい)が、ご新郎へチュッパチャプスの花束を渡すサプライズがあり、「あれでも、よ~役目果たしたわ」と感心され、ご披露宴をしっかり楽しんでいらっしゃいました。
式場スタッフ様の心遣いも素晴らしいものでした。おじい様・おばあ様は、披露宴の途中で帰路につく事になっていましたが、中座のあと、披露宴会場の外で新郎新婦と祖父母様だけの写真撮影の時間を、割り出して下さったのです。
分単位で進んでいく結婚式の進行を変更するのはなかな大変だったと思いますが、「せっかく遠方から来てくださったのだから・・」と、お気遣いをいただきました。式場の方々が、お二人のことを真剣に思ってくださっていることが、ひしひしと伝わってきて本当に心を動かされました。
おばあ様は帰宅の新幹線の中で、とても良い結婚式だった、本当にきれいだった、お色直しのドレスが似合っていた、良い土産になった、と何度も何度も仰っていました。
少しお休みになられるかな?と思いましたが、そのまま起きていらっしゃいました。本当に来れて良かったと、何度も仰っていました。
帰路では、すっかりお二人ともくつろがれ、おじい様は、いろんなお話をしてくださいました。高校の先生だったそうで、先日、歩いていたら 後ろからきれいな着物のお姉さんが「先生ですね。お世話になりました。」と声をかけてきて、すっかり当時のことを忘れてしまっていたよと、聞かせてくださいました。教員になられたとき、雨の日も毎日自転車で通って大変だった事もお話しくださいました。
新幹線で奥様がお化粧室に立たれて行ってしまうと、「うちのおばはん、どこやろ?」と奥様のことを気にかけられ、とても仲の良いお二人でした。
おじい様はかなりご高齢ですが、少し年下のおばあ様と本当に仲睦まじく、こんな風に年を重ねられたらいいなあと、学ばせていただくことだらけでした。終始穏やかで、笑顔が絶えないお二人との貴重な時間は、なににも代えがたい思い出となりました。
パレスホテルのスタッフ様も、いつもにこやかに接してくださって、私たちのケアエスコートのお仕事もとても共感していただき、「大変なお仕事ですね」と声をかけてくださいました。
関西から早朝に出発し、日帰りという強行スケジュールでどうなることかと不安もありました。でも、お二人の穏やかなお人柄と、体力がおありでしたので、無事に全工程を終え、長距離の往復を完了することができました。