ご病気で、結婚式に参加できないと考えていらっしゃいました。
10:30 会場で待ち合わせ |
10:30に、アニヴェルセルの正面玄関にて、迎えしました。そのあと、1Fのプライベートルーム、お化粧室へとお連れし、お洋服の確認をさせていただきました。
11時すぎに、サロンにて ヘアセット、そして、プライベートルームでお着替え。ドレスの上にジャケットをはおられ、コサージュやネックレス、イヤリングで華やかに。
親族控室に移動し、そのあと、親族紹介と写真撮影になりました。
その後、チャペルへ。挙式のあとは、フラワーシャワーと写真撮影です。ご披露宴では、車椅子でしたが、すべてのテーブルご挨拶に行かれました。
実は、私たちは、「途中でご休憩を1時間近くは、はさまないとお疲れになるはず、ご披露宴も全部はご参加できないのでは」と心配していました。
でも、新郎新婦様の中座後に、ほんの少しだけ休憩室にお立ち寄りになった程度で、送賓までほぼ全部のイベントを成し遂げられました。
その一瞬だけ立ち寄った休憩室では、、静寂の中で、「ホッとするわ・・」とおっしゃっていました。でも、「横になっちゃうと、そのまま眠っちゃいそう・・。」と、ぽつりと呟かれ、5分も休まずに、ご披露宴会場へお戻りになられました。
最初にお会いした時、「結婚式には行けないだろう」と考えていらしたそうで、ドレスはすべて処分してしまったとお話しくださいました。
息子様のご結婚が決まった後も、結婚式への参列は、半ばあきらめていたとのこと。でも、ご主人様や息子様の立っての願いがあって、結婚式への参列を実現しようとされました。そのハレの日、ご新郎様を目の前に、ご成長を見守っていらしたお母さんのまなざしには、安堵感が満ちあふれていました。
この日をお手伝いさせていただいたことは、私たちの大きな糧となりました。本当にありがとうございました。
久しぶりの長時間の外出なので体調や体力が心配
10:00 介護施設へ、訪問 着替え・お化粧 |
お打合せの初めから、ご家族や、ケアマネージャーさんから、体力的に心配との声があり、披露宴だけ参加され、途中で失礼していただくことも念頭においていました。
前日、ご連絡させていただくと、体調が良いとのことで安心し、当日を迎えました。
訪問させていただいたときには、少し緊張気味のご様子でしたが、お化粧のお手伝いをしながら、お話を伺っているうちに、お顔の緊張も解けていきました。お孫さんの中で、初のご結婚式との事で、この日を心待ちにされていたようでした。
アイシャドーやチーク・口紅の色も一緒に選んでいただき、ドレスを着て、お髪のセットが終わると、鏡に向かっていただきました。にこやかな笑顔が自然にあふれて、華やかになった姿は、本当にお奇麗で私たちも嬉しくなりました。
さて時刻は11時。リクライニング車椅子に乗り換えて出発です。
介護施設からベイホテルまで車で50分。車酔いされないようにと祈りながら、乗車のお手伝いをしました。
ゆっくり、落ち着いたご様子でしたが、楽しくお話が弾みました。以前のお住まいは海が近かったので、ご友人たちが集まり、海へよく出かけた思い出など聞いているうちに、車酔いも無く到着しました。
途中、自然渋滞の情報があり、12時をまわる予測だったので迂回の道を通ることにし、予定より15分早い11時45分には、ご親族控室のあるB2ロビーに到着しました。
おばあさまは、ご披露宴からのご参加のため、ほかの皆様はまだ挙式会場にいらっしゃいました。少し待つつもりで、ロビーを歩いていると、婚礼担当者2名が近づいてきました。何と、親族の写真撮影に間に合うかも・・と粋なご提案をしてくださったのです。急遽、写真室へ案内されると、車椅子のスペースが設けて下さっていて、ご親族はすでにひな壇に並び終えるところでした。撮影に見事間に合ったのです。全員そろってのお写真になりました。フランス人形のようにかわいらしい花嫁姿をご覧になった、この瞬間から、おばあさまはずっと涙ぐんでおられ、目元はハンカチで覆われていました。
披露宴開宴までは、お控室で過ごされ、ご親戚の方がおばあさまに近づいてこられては「来れてよかった」「元気でよかった」「きれいねえ」と声をかけて下さり、本当に無事にこの日を迎えられ、この場に到着することに関わらせていただけたことが感慨深く、なんとも言い難い気持ちでいっぱいでした。
そして、この間に、このお部屋に新郎新婦が立ち寄られたのですが、
新婦様がご祖母様を見かけるなり「おばあちゃ~ん!来れてよかった!」と、おばあさまの手にハイタッチして行かれ、素顔の花嫁さんという感じになって、またまた感激させられるのでした。
ご披露宴中、おばあさまの円卓だけは移動しなくて済むように、新郎新婦様が来てくださっての写真撮影。本当に心遣いが行き届いていました。その際、またまた、ご新婦様が、「おばあちゃん、まだまだ中盤だけど、つかれてなーい?」と優しく声をかけてくださるのでした。ご新婦様ご自身も緊張されているだろうに、そんな中での心づかいに、感激でした。
中座後の再入場では、打掛でのご登場に、おばあさまは感極まっていらっしゃって、本当にお連れできた事が、私たちの心も幸せいっぱいにしてくださいました。
おばあさまによると、ご新婦は本当に着物がお好きで、着物を着て登山をしてしまった思い出があるそうで、あふれる涙をふきながらお話しくださいました。
お食事も楽しまれ、ご親戚になる方々とのご挨拶もしっかりされ、ご親族にも「元気で頑張りなさいね」と声援も送っておられ、おばあさまの寛容さとチャーミングなお人柄に魅了された1日でもありました。
ご高齢で車椅子、久しぶりの長時間の外出なので体調や体力が心配
12:15 ご入居先でお着替え、メイクのお手伝い |
まずご入居先へ伺い、「本日はおめでとうございます!!」とお祖母様にご挨拶をさせていただきました。
「ありがとう!」と、お祖母様は、満面の笑顔に嬉しさがにじみ出ていました。
途切れることなく、ずっとずっとお話をしてくださるお祖母様。
この日をとても楽しみにしてらっしゃったのが良く分かります。
そんなお祖母様の気持ちに引き込まれながら、アッという間の楽しいお仕度タイムでした。
お迎えのタクシーが到着したので、車椅子にお乗り頂き、玄関まで移動しました。
タクシー手前で車椅子を降りて頂き、スタッフ1名がお祖母様の身体を支え、もう1名が頭をぶつけない様に頭に手をあて、タクシーにお乗り頂きました。
タクシーのトランクに車椅子を積んでお式場へ出発です。
お式場に到着し、宴会場入口から中へ。
1時間以上の長い車移動だったので、到着後すぐお手洗いへご案内しました。
お祖母様は小柄で床に足がつかないので、お身体を支えながらお手伝い。
お召し物を整え、口紅を塗り直してからB1Fのご親族控え室へお連れしました。
すでに何人かご親族がいらしていて、お迎えしていただきました。
皆様とてもお忙しく、また初めての場所のためか、お祖母様は、少しご不安そうなお顔になられました。じっと私達スタッフの顔を見つめて手を握り、「あなた達もまだいるわよね・・」とおっしゃいます。
私達はお祖母様の手を握り返しながら「お家に帰るまでずっと一緒ですよ!」とお答えすると、ホッとされたご様子になり、それからゆっくりと美味しそうに桜湯を召し上がりました。
間もなくして、ご家族や新郎様がいらっしゃると、お祖母様を囲んで写真撮影。
最初は緊張で固い表情のお祖母様でしたが、新郎様が両手でお祖母様のお顔に触れながら「おばあちゃん、ありがとうね」と仰ると、お祖母様の表情がなごみ、自然な笑顔が戻りました。
お控室からご両家ご家族が列となって、挙式会場の幸福殿までご移動。
お祖母様は車椅子のため、階段上のご親族席ではなく、階段下の一番前にご案内しました。
私達スタッフも最前列でお祖母様と並んで参列させて頂きました。
お式中は、新郎様を目で追いながらも、時々横にいる私達に微笑んで下さるお祖母様。
私たちにとって、とてもうれしい、印象的な表情でした。
ご披露宴会場は1つ上の階の「鳳凰の間」にて。
窓からは、日本庭園が望める素敵な会場です。
お祖母様を車椅子のままお席にご案内し、私達スタッフはお祖母様の両サイドに座らせて頂きました。
「もうすぐ、○○様(新郎様)が入場されますからね!」とお声掛けすると、「あら、どこから来るのかしら!?」と嬉しそうに会場中を見渡していらっしゃいます。
入場口の方へ車椅子を向け待っていると、新郎新婦様がご入場!
お祖母様も身を乗り出して手を叩いてお2人をお迎えです。
目の前を新郎新婦様が通っていく時、お祖母様が新郎様に声をかけると、新郎様もお祖母様の前で立ち止まってニッコリ。
新郎様の優しさとお祖母様の嬉しそうな表情が、会場も私達の心も、一瞬にして幸せな空気で満たしてくれた様な気がしました。
お食事中は、お料理の説明をしながら、お料理を小さくカットさせていただいたり、お飲み物をお勧めしたりなどのお手伝い。
新郎様の中座の時のエスコートを、お祖母様が担当されることになっていたので、お祖母様にそのことをご説明し、お召し物を整え、お口元を綺麗に整えてスタンバイ。
お祖母様の名前が呼ばれ、スポットライトがあたったので、スタッフ1名が車椅子のお祖母様を高砂の新郎様のお席までご案内しました。
新郎様は、お祖母様の両頬に手をあて、笑顔でお迎えしてくださいました。
中座は、新郎様がお祖母様の車椅子を押して下さることになっていたので、私達は一足先に入退場の扉の外で待機しました。
スポットライトに照らされ、扉の外に出てこられる笑顔のお2人を、私達も笑顔でお迎えしました。
その時のお祖母様の誇らしそうな、愛おしそうな表情は、最高に素敵でした。
「新郎様とお祖母様、お2人とも素敵でしたよ~」
とお声をかけると、
「そう?」と少し恥ずかしそうに笑ってらっしゃいました。
ご披露宴お開き後、ご入居先へ到着する頃にはすっかり夜になっていました。
早々にご入居先のスタッフ様にお引継ぎし、私達はご挨拶して退室。
「今日は長い時間本当にありがとう!」
「また会いに来てね!」
と、私達の手を握りながら笑顔のお祖母様。
一日ずっとお世話をさせていただいたお祖母様と離れるのが、何だかとても寂しくなった私達です。
車椅子、長時間の外出にご不安がある
12:30 ご自宅でお着替え、メイクのお手伝い |
私たちがご自宅に伺うと、お祖父様が笑顔で玄関のドアを開けて下さいました。
そのまま、お祖父様に案内していただき、リビングへ入りました。
そこには、すでに昼食を終えられて車椅子に座わっていらっしゃるお祖母様。
静かにお茶を楽しんで、微笑んでいらっしゃいました。
「本日はお孫様のご結婚、おめでとうございます!」と私達がご挨拶すると、
お祖父母様が同時に「どうもありがとう!」ととても嬉しそう!
お身体のご不安からご出席を迷われていたお祖母様でした。
この日も少しご緊張されているご様子でしたが、「お孫様のドレス姿楽しみですね!!」と、お声掛けすると、「そうね~ 楽しみだわね~」と、明るい声で笑顔になられたので私達もホッとしました。
リビングからお部屋へ移動して、お祖母様のお仕度を始めました。
久し振りにお召しになるというお花の刺繍が入ったニットは、お祖母様にとても良くお似合いでした。
ズボンのお着替えのときは、スタッフ1名がお祖母様を正面からお支えして立って頂き、もう1名がズボンの着脱をお手伝いしました。
ご負担がないようにゆっくりゆっくり、お声掛けしながらお仕度です。
メイクのお手伝いを始めると、「誰かに顔をいじってもらうなんて自分の時(結婚式)以来だわ~」と、とても恥ずかしそうに笑ってらっしゃるので、私達もつられて笑います。
ご様子を見にいらっしゃったご主人も「楽しそうだね」とニッコリ。
時間通りに介護タクシーがお迎えに来たので、お祖父母様と私たちスタッフ2名でお式場へ向かいました。
お式場の2Fの車寄せで介護タクシーを降り、親族控室へご案内しました。
既に新婦様のお母様や弟様などが入室されていて、お祖父母様を温かくお迎えして下さいました。
お部屋の一番奥にお祖母様の車椅子を停め、ご親族紹介まで少し歓談されました。
お祖母様は、初めての場所で、人の多さに少しご不安になられたのか、「あなたたちは、まだいてくれるの?」とご不安そうに仰いました。
「大丈夫ですよ、ご自宅に戻るまでずっと私たちもいますよ」とお伝えすると、笑顔で頷かれました。
ご親族紹介の時は、私達はお部屋の外で待機しました。
その後、車椅子を押してエレベーターで3階に上がり、チャペルへご案内しました。
間もなくしてご親族写真のため新郎新婦様がチャペルへいらっしゃると、お祖母様は車椅子から身を乗り出し、何度も何度も新婦様の方をご覧になっていました。
お祖母様はお式だけのご出席だったので、お式の後に少しでもお祖母様と新婦様がお話しできる時間があればいいな、と私達は密かに願っていました。
挙式後はテラスでのウェルカムパーティー。
フラワーシャワーのときは、間近で新婦様をご覧になることができて、お祖母様はとても嬉しそうでした。
ドレスにそっとかけるように花びらを手放すお祖母様の姿には、新婦様を想う優しい愛情を感じて、私達もあたたかい気持ちになりました。
ウェルカムパーティーの終わり間近、私達は式場スタッフさんに、新婦様とお祖母様でお写真を撮って頂きたいと伝えました。
お祖母様を新婦様のおそばへお連れすると、
「おばあちゃん、暑い中ありがとう!」
と新婦様からお祖母様へ、とびきりの笑顔が向けられました。
私達は離れたところで待機していたので、お祖母様の表情は分かりませんでしたが、少し目頭を押さえているように見えました。
お式後、お祖父様とご家族に見送っていただき、お祖母様と私達スタッフは一足先にご自宅へ戻りました。
帰り際に、「今日は本当にありがとう! お陰様で無事に行くことが出来たわ~ 」とお祖母様は、私達に仰って下さいました。
最初はご不安で行くことさえ迷われていたお祖母様でした。
もしかしたら本当に「行かない」という選択をされていたかもしれない・・
そうなっていたら、こんな嬉しそうなお祖母様の笑顔も見られなかったんだ・・と思ったら、今こうして拝見しているお祖母様の笑顔がとても尊くて、嬉しくて、幸せで、お手伝いできて本当に良かったと心から思いました。
ご高齢で歩行が不安定、車椅子使用、当日は家族も忙しく十分にお世話ができない
10:45 美容院でお待ちあわせ |
お式とご露宴の会場が違うため、お待ち合わせ場所は元町の美容室でした。
介護タクシーのドライバーさんから連絡を受けてから10分後、お祖母様と新婦様のお父様を乗せた介護タクシーがご到着。
お着替えとお化粧も済まされ、素敵に身支度されたお祖母様は笑顔で車から降りて来られました。
お疲れのご様子はありませんでしたが、歩行が不安定でしたので、車椅子にお乗り頂きました。
美容室では、お召し物を整えたり、お化粧直しやヘアセットをお手伝いしました。
一緒にお着替えをされているご家族様と楽しそうにお話されたり、お仕度に忙しい新婦様に代わり新郎様がお祖母様と私たちにご挨拶しに来てくださったりと、終始和やかな雰囲気です。
美容室から挙式会場の教会までは介護タクシーで移動。
教会内は車椅子で移動し、お祖母様を新婦様側の一番前までご案内しました。
車椅子を降りて頂き、教会のお椅子へ。
私たちスタッフもお祖母様のお側に座らせて頂き、挙式中、立ったり座ったりする際にお身体を支えたり、しおりをめくって差し上げたりなどお手伝いしました。
終始、静かに、じっと新婦様を見つめてらっしゃるお祖母様がとても印象的で、愛おしそうに、でも、どこか寂しそうにも見えました。
お式、写真撮影後は再び介護タクシーに乗りご披露宴会場へ。
会場となるのは、3階のシルクルーム。
エレベーターがないので、階段を上って行きます。
車椅子を降りて頂き、両手で階段の手すりをしっかりつかまって頂きながら、私たちはお祖母様の前と後ろに付き、ゆっくり歩いて頂きました。
ご本人のご希望で、車椅子から会場の椅子へのご移動をお手伝い。
ご披露宴が始まるまでは、椅子でウトウトされていましたが、新郎新婦様のフォトアルバムをお持ちすると、「あら~、2人ともいい笑顔ね~!!」とお祖母様も満面の笑顔でご覧になっていました。
お食事は、ご自分でナイフとフォークを上手に使い、綺麗に召し上っていたので、私たちスタッフは、お祖母様のテーブルのお側に座ってお見守り。
新郎新婦様が中座されている間、お祖母様ご本人の希望で新郎様側のご家族へ挨拶に。
車椅子ではなく杖を使って「歩いて行きたい」と、一生懸命歩かれてご挨拶に周るお姿は、
お祖母様が新婦様を想う気持ちが伝わってきて、胸が熱くなるシーンでした。
ご披露宴もお開き近くなったので、タイミングをみてお手洗いへご案内。
お手洗い入口までは車椅子でご移動。
入口の段差に注意しながら、個室までは歩いて行かれました。
お開き後、2Fのエントランスで新郎新婦様とご両親様にご挨拶。
介護タクシーはすでに到着していましたが、なかなか新婦様のお側を離れようとされないお祖母様。
新婦様が大阪にお嫁に行ってしまう寂しさもあるんだろな、と考えると、「お車きましたよ」とお声をかけるのもためらわれる私達でした。
ご挨拶後は介護タクシーにて朝お仕度した美容室へ。
お着替えを終えて、お祖母様、ご家族様が乗られた介護タクシーをお見送り。
一日を通してあまりご自分のお気持ちを話さないお祖母様でしたが、車内から私たちに手を振って下さるお祖母様の表情は、とても幸せそうな笑顔でした。
「ああ、素敵な一日を過ごして頂けたんだな~」と、
遠ざかる車を見送りながら、私達も幸せな気持ちで満たされていました。