お身体の麻痺で車椅子のため、お着替え・お手洗いなどのご心配
16:00 お式場でお待ち合わせ |
介護タクシーでいらっしゃるお父様を、 私達はホテルの外でお待ちしていました。
1時間以上はかかるとのことで、 お疲れになられていないか心配でしたが、
車から降りてこられたお父様に、笑顔が見られ、ホッとしました。
お着替えの時間まではロビーで待機。
ご病気の後遺症で、言葉は上手く話せませんが、 頷いたり、身振り手振りで答えてくださいます。
「昨夜はよく眠れましたか?」
「車は順調でしたか?」など、
「イエス」「ノー」で答えられるようにお声掛け。
「お嬢様のドレス姿、楽しみですね!」と問いかけると、
わざと顔をしかめて、首を横に振ります。
でも、堪え切れず笑みがこぼれるお父様。
思わず私達が笑ってしまうと、お父様も、つられて笑っていらっしゃいました。
更衣室では、モーニングへのお着替えのお手伝い。
麻痺のない左手を使い、積極的に、ご自分でお着替えされるので、
それを遮らぬ様、お1人では難しい所をサポートするようにしました。
ご親族控室にご案内すると、 車椅子をご自分で動かしながら、
ご家族様のお近くに行ったり、お孫様と遊んだり、 終始ニコニコ、とても嬉しそう!!
間もなく、新郎新婦様が控え室へ入ってこられると、 少し緊張された表情のお父様。
でも、お嬢様を見つめる目はとてもやさしくて、 言葉には出来ないけれど、
「綺麗だよ。」と言っているように私には思えました。
挙式前に、一度お手洗いへご案内。
麻痺のある右側に倒れてしまわないように、意識してお身体を支えます。
ネクタイや髪の毛を整えてからチャペルへ。
少し段差があります。
当日は、式場のスタッフ様がスロープを出して下さったので、 スムーズに移動する事が出来ました。
夜のお式でしたので、周りはすっかり暗くなっていましたが、
足もとの灯りや、チャペル内の灯りで、とても幻想的な雰囲気。
バージンロードを通り、一番前のお席へご案内。
私たちは一番後ろの席に座ってお見守りします。
バージンロードを、新郎新婦様が、お2人で歩かれました。
ご参列のゲストの方々から、笑いが起きるくらい、幸せ一杯のお2人の姿が、
会場を一気にあたたかくしてくれました。
お父様の気持ちを想像した時、 「やっぱり少しさみしい気持になるのかな・・」と思いました。
でも、「良いお式でしたね」とお声掛けすると、 うん、と頷いて下さったお父様は、
とても幸せそうな、 満足そうな、お顔をされていました。
お式のみご出席のお父様は、 ご披露宴に出席される皆さまに、ご挨拶して退室。
お着替え後、少し軽食を召し上がって頂き、
お薬をお飲み頂いてから、介護タクシーへご案内しました。
閉めた窓ガラスから、 こちらに向かってお父様が手を振って下さっているのが見えたので、
私達も力一杯手を振ってお見送りしました。
お身体の麻痺で車椅子のため、お着替え・お手洗いやお食事などのご心配
8:30 ホテルのお部屋でお仕度 |
ホテルのお部屋でお着換え、メイクをしてから、
車椅子にお乗り頂きホテル内の美容室へ。
足が車椅子の足置きにきちんと乗っているか、 終始確認しながら移動。
キラキラの鏡の前にご案内されると、
「なんや、私が主役みたいやな~」と周りを笑わせて下さいます。
ヘアセットが終わるまで私たちはロビーで待機。
時折、お祖母様と美容師さんが談笑されている声が聞こえてきました。
ヘアセット後、挙式までまだお時間もあったので、 車椅子用のお手洗いにご案内してから再度お部屋へ。
素敵に変身されたお祖母様の姿を見て、 「おー、いいじゃない!」「すごく似合ってる!」
などご家族様に声を掛けられ、 お祖母様も嬉しそうです。
お時間が来たので控室からチャペルへご移動。
ホテルの床は絨毯なので、車椅子のタイヤが沈まない様に、
ゆっくり少し力を入れながら車椅子を押しました。
チャペル内は式場スタッフ様のご誘導のもと、
バージンロードを通らせて頂き一番前のお席へ。
「私たちは一番後ろで見ていますね」とお声掛けすると、
お祖母様の目にはすでに涙が溢れていました。
お孫様を想うお祖母様の気持ちが私達には伝わってきて、
そっとハンカチをお渡ししました。
時折ハンカチで目元を押さえられて、 そのたびに私達も胸が熱くなりました。
お式後、ご披露宴前に一度お手洗いへご案内。
とても気を遣われるお祖母様なので、お食事はご家族様がお手伝いされ、
私たちは車椅子の向きを変えたり、
演出の際前の方へご案内したりなどお手伝いさせて頂きました。
ご披露宴も半ば、新婦様のお色直しのお時間、
中座のエスコートに選ばれたのは新婦様の妹様お2人と、お祖母様!
「え!!?私!!?」と、
とてもビックリされた表情の中にも嬉しさを隠し切れない笑顔もあり、
その時の表情がなんとも何とも言えず、 周りのご家族も私達スタッフも笑ってしまいました。
スポットライトを浴びながら車椅子を押され、
新婦様をエスコートされるお祖母様。
とても堂々と、時々新婦様の事を誇らしげに見つめながら進まれました。
途中、お祖母様が新婦様からプレゼントされた花束を高々と上にあげると、
ご家族の皆様が立ち上ってお祖母様のお名前を手拍子付きでコール。
会場内があたたかい笑いと明るさに包まれました。
終始楽しそうで明るいお祖母様でしたが、
お開き後お部屋に向かっている時、
「行かない方が良かったんじゃないかって思ったけど、、 今日はありがとう」
と突然のお言葉。
胸が熱くなってすぐには言葉を返せなかったけれど、
幸せな一日を過ごさせていただいた、
私たちの方こそこそありがとうございます、
と心の中で強く思っていました。
足がお悪いので歩くのが大変、ご家族も忙しく常にお世話ができない
(前日は宿泊先のお部屋でお泊りのお手伝い) 8:00 お仕度、チェックアウトの準備 |
朝、お部屋のカーテンを開け光を入れると「おはよう」と起きて下さいました。
ホテルのお部屋のお手洗いや洗面所は、
使い方が分かりにくい場合が多いのでお側でお手伝い。
朝食を召し上がって頂き、お薬をお飲み頂いてからお仕度開始。
「なんだかすでに楽しくて! いい思い出だわ!」 と、とても楽しそうにされていました。
普段は杖を使ってお歩きになるお祖母様ですが、
1日ご移動が多いので、ホテルの車椅子をお借りしお乗り頂きました。
お控室では、ドアの外から声がするたびに
「○○ちゃんかしら??」 と新婦様のご登場を楽しみにされていました。
白無垢姿の新婦様がお控室に入ってこられたので、 車椅子を押して新婦様のお近くにご案内。
「とっても綺麗よ~!!」と新婦様の耳元で仰ったお祖母様は、 本当に嬉しそう!!
お打合せでお会いした時、お祖母様の事を心配されていた新婦様も、
お祖母様のお顔をみてホッとされたご様子。
お式を前に緊張されていた表情が穏やかになられたように感じました。
挙式会場の神殿へは車椅子のままご案内。
八脚案(机)を動かしてくださったので、そのままお席へご案内出来ました。
儀式中は立ったり座ったりがありますが、
お祖母様には「そのまま座っていて大丈夫ですよ」とお伝えし、
私達スタッフはお祖母様の後ろの椅子へ。
親族盃の儀の際、 お神酒を召し上がる時に手を添えるなどお手伝いさせて頂ながら、
私達もご家族と一緒に厳かな神殿での儀式に立ち合わさせて頂きました。
挙式後は庭園でのお写真撮影。
緩やかな下り坂を車椅子で後ろ向きにゆっくりと降りていきます。
まだ暑さの残る日だったので、一足先にご披露宴会場の料亭へ。
玄関にはスロープをご用意して下さったので車椅子のまま中へご案内。
皆様が来られる前にお手洗いへご案内してからご披露宴のお部屋へ。
ご披露宴のお部屋では車椅子を降りて頂き、 会場の椅子へお移り頂きました。
ゆったりとご家族でお食事を楽しむ時間でしたので、
お手洗いのお声がけ以外はそっとお見守りしていました。
時折新婦様の方を愛おしそうにご覧になるお祖母様の横顔を、
私達も幸せな気持ちで見つめていまいした。
翌日、新婦様のお母様より
「私も自分の事で忙しくて、とても緊張もしていたから、
二日間母の事をお手伝い頂いて本当に助かりました!!
母もとても良くしてもらった、と喜んでいましたよ!」と、
大変ありがたく、嬉しいお言葉を頂戴いたしました。
皆様にとっての大切な日にお役に立つ事が出来たという事は、
私達には何よりの喜びなんだと、あらためて実感しています。
ホテル椿山荘東京についてはこちら↓
当日は車椅子使用、慣れない場所ではお手洗いや食事などサポートが必要
9:00 お式場でお待ち合わせ |
予定時間より前にご到着され、控室にいるとのご連絡頂き、 お控室へ向かいました。
お祖母様、ご家族様皆様にご挨拶。
ご親族紹介までかなりのお時間があったので、
お祖母様にお飲み物をお薦めしたり、お手洗いにご案内したりなど。
長時間のご移動でのお疲れも見られず、 ご家族皆様でご歓談されてお過しでした。
お式場内のご移動は、お祖母様は車椅子、 お祖父様はご自分で歩かれますが
少しお足もとがご不安でしたので、 お祖父母様それぞれにスタッフが付き、
お手伝いさせて頂きました。
チャペル入り口前には階段がありますが、
スロープを出して頂けるので車椅子でも問題ありませんでした。
目がご不自由なお祖母様でしたので、
一番前のお席にご案内し、車椅子からチャペルのお椅子へ。
たくさんのゲストの方がご参列されるので、 私たちスタッフは一番後ろで待機していました。
お祖母様の後姿をお見守りしながら、
「新婦様のお姿、少しでもご覧頂けてるかしら・・」と
不安な私達でしたが、 新婦様の方を向き拍手をしたり、時折笑顔も見られたので、
私たちも嬉しくなりました。
挙式後はチャペル外のテラスにて写真撮影。
テラスに出る際にも階段があり、ご家族介助のもと上がられたので、
私たちは上がりきったところで車椅子をご用意、お乗り頂きました。
ご披露宴会場へ向かう前に、 お祖父様、お祖母様をお手洗いにご案内。
最初はとても気を遣われ遠慮されていたお祖母様でしたが、
初めての場所でのお手洗いにはご不安がおありだったようで、
「ありがとう、こんな事も手伝ってくれるのね。助かるわ~」 と、
ご安心されたご様子。
歩行がゆっくりなお祖父様に合わせ、 お祖母様が乗る車椅子もゆっくり押しながら
ご披露宴会場へと移動しました。
ご披露宴では、車椅子を降り会場のお椅子へ。
円卓のテーブルで、お祖父様とお祖母様の間にスタッフ1名が入り、 もう1名は少し離れた場所で待機。
お食事はお箸とスプーンを使い、お祖母様ご自身で召し上がれるので、
私たちは会場の雰囲気や進行状況、新婦様のご様子などをお伝えするなど、
見えなくてもお祖母様が少しでもお楽しみ頂けるように、 お手伝いさせて頂きました。
新郎新婦様お色直しの再入場後、 タイミングをみてお祖父母様をお手洗いにご案内。
ご披露宴にもたくさんのゲスト様がいらしたので、
新婦様とゆっくり接するお時間があまりありませんでしたが、
終始笑顔でお過しのお祖父様とお祖母様でした。
お開き後、お祖母様をご家族様の車にお乗せして、皆様にご挨拶してお見送り。
「今日はずっと付いていてくれて、本当に良かった」と、
お祖母様の言葉と笑顔が優しく私たちの心に響きました。
車椅子なのでお手洗いの心配、長時間なのでご気分が変らないか、お疲れにならないか
10:30 ご入居先へお迎え・お仕度 |
ご入居先へお伺いするとまだ眠ってらっしゃいました。
お声掛けし、お着換えなどお手伝いを始めさせて頂くも、
すぐお疲れになられてしまうので、
ゆっくり、ご本人のペースに合わせてお仕度をしていきました。
お孫様のご結婚式へのお慶びと、
久々の外出へのご不安がおありのご様子でしたが、
ご準備が終わるころには、素敵な笑顔がたくさんみられました。
お身体のご負担をすくなくするために、
車椅子からリクライニング車椅子にお乗り換え頂いて介護タクシーへ。
お式場のロビーへ着くとご家族様が迎えて下さり、 お祖母様もとても嬉しそうです。
お式までの待ち時間は、 庭園が見える窓際に車椅子をお停めし、
リクライニング車椅子の背もたれを少し倒してお休み頂いたり、
新婦様のお母様からお預かりした軽食やお飲み物を召し上がって頂いたりなど。
また、字を書くのがお好きなお祖母様でしたので、 ノートと筆ペンをお渡し、
お好きに書いて頂きながらお過し頂きました。
チャペルに入ると少しご不安そうな表情をされ、
後ろに座ってらっしゃるご家族様を呼ばれたり、落ち着かないご様子でしたので、
お祖母様のお側に付き、挙式が始まるまでお話しながら待ちました。
お式中は、
「もうすぐお孫様ご入場ですよ」 「指輪の交換ですよ」などお声掛け。
皆様と一緒に拍手をされたり、
時々「○○ちゃん」と新婦様の名前を呼ばれたりと、
本当に嬉しそうな、優しいお祖母様のお顔になっていました。
お綺麗なお孫様の姿に見とれている私達に、
「綺麗でしょう?○○っていう名前よ。私が名づけたんだよ!」 と
仰るお祖母様の満面の笑顔は忘れられません。
ご披露宴は、1つの大きな楕円形テーブルを囲むように着席。
お祖母様は車椅子のままご案内し、 私たちはお隣りに付きお食事のお見守り、
お肉をナイフで切ったりなどはお手伝いさせていただきました。
新婦様やご家族様のお顔を見ながらのお食事がとても嬉しいご様子で、
「○○さん、○○ちゃん・・」と、
ご家族お1人お1人のお顔を見ながら名前を呼んでらっしゃいます。
(ご披露宴中、何度もありました。)
新婦様もご家族様も、それに笑顔で答えます。
とてもあったかくて和やかな雰囲気が、 私たちもご家族の一員になったかのような、
とても幸せな気持ちにさせてくれました。
「今日、行けたのは夢みたい・・でも夢じゃないのよね」
お帰りの車の中でお祖母様が何度も仰った言葉が、
私達の心に今でも残っています。