ご新郎様のお祖母様のご送迎と挙式、披露宴のエスコート。病院からの送迎。久しぶりの外出でお疲れにならないか、心配。
12:30 病室にてお仕度 着替え |
主治医から外泊許可がでて、入院先からお連れすることになった、新郎様のお祖母様のエスコートでした。
関節炎で足のむくみが、まだ残っていらっしゃいました。動かすと痛みがあるため、ゆっくりとしか足を動かすことができないご様子です。リハビリもはじまっているそうですが、思うようには、動けないご様子でした。
早速、リクライニング車いすを手配させていただきました。
今回のお申込みは、結婚式の2週間前でしたのが、鳳鳴館のプランナーさんも、すぐに下見のためにスケジュールを調整してくれ、親身になってくださいました。
ご結婚式の当日
病室へ伺うと、お顔色もよく、晴れやかなお顔でした。
お久しぶりの外出+結婚式という事もあり、少し緊張気味のご様子でしたが、お仕度をしているうちに、会話もはずんできました。
看護師さんと出かける前の確認を再度行い、出発しました。
車の中でお祖母様は、「こんな体になってしまって・・もうだめかと思っていた・・」と涙ぐまれていました。ご家族も、この入院で、お祖母様が落ち込んでいることをとてもご心配されていました。
鳳鳴館に到着すると、流れにのって結婚式がはじまりました。
挙式・・・披露宴・・・
私たちは、合間の時間のたびに、お祖母様の、すぐにむくんでしまう足をさすっていました。
でも、結婚式がはじまると、ご病気になる前の、気丈でみんなに慕われているお祖母様に戻っていらっしゃいました。
ご家族の皆さんの心配の表情も、笑顔に変わっています。
披露宴中盤には、サプライズがありました。新郎様の中座のエスコートとして、ご祖母様がサプライズで呼ばれたのです。
新郎様もご祖母様の入院をどれほど心配していたか・・・。でも、進行の流れで、ゆっくりお話している時間もありませんでした。
たった一言、「ばあちゃん、沢山食ってけよ!」と、男らしくお声をかける新郎様でした。
ご祖母様へは、これだけで十分通じていました。
(たぶん、早めに帰ることになるだろう・・・)と、皆が思っていました。でも、最後の親御様への挨拶までしっかり見届けられました。
そして帰りの車の中。
お疲れになって眠ってしまわれると思っていたのに、「まだ結婚式の興奮と緊張が残っていて・・・」と満面の笑顔です。
そして、「今は仮宿に帰るけど、早く元気にならないとね。」と。
やっぱり家族の力ってすごいなっ!!て感じた瞬間でした。
最初はご親戚にお世話をお願いしていたお祖母様。ご高齢のための色々な症状があり、慣れない場所でのトイレや、結婚式場で迷子にならないか、式場から外へ一人で行ってしまうのではないか心配。
08:00 施設に訪問 |
今回は、息子様ご夫婦の近くで、お一人暮しのお祖母様でした。
はじめに、息子様ご夫婦へご挨拶にいきました。
「実は、結婚式の最中は、親戚にサポートをお願いしようかと思っていました。」とお話していただきました。ご親戚も「いいよ」と快く受けてくれたそうです。
でも、考えてみれば、ご招待しているのに、トイレや食事の事をお願いするのは、どうかと思い直し、ケアエスコートへ連絡をくださったそうです。
いろいろ、お祖母様のご様子を伺ってみると、軽い認知症があり、慣れない場所でのトイレや、結婚式場で迷子にならないか、式場から外へ一人で行ってしまうのではないか・・・とご心配しているご様子です。
結婚式当日の朝は、息子さんと結婚式場まで一緒に来て、式場で私たちと待ち合わせることにしました。
あとは、着ていくもの。
お祖母様は「留袖を着たい」というお気持ちが強かったようです。でも、今のご状態を考慮し、洋装を新調されることにされました。わたしたちが事前にお預かりし、当日、結婚式場へお持ちする約束になりました。
だいたいのイメージのつきあわせをし、その日は失礼いたしました。
それから、10日ほどして・・・電話が入りました。お祖母様が、脳梗塞を発症し、入院したとの一報でした。結婚式の3週間前のことでした。
幸い、軽い脳梗塞で、早期発見だったため、後遺症も残らず、早めの退院が決まっているという内容でした。
ただ、大きな変更がありました。お祖母様のお住まいの変更です。これを機に、施設へ入所することになったため、スケジュールの変更をしていきました。
結婚式会場で待ち合わせではなく、施設にお迎えにあがり、帰りはお送りすることになりました。ご祖母様が不安にならないように、息子様ご夫婦と綿密に打合せをしました。
退院の翌日、ご祖母様にご挨拶に伺いました。
職員さんに腕を組んでもらい、しっかりとした、足取りです。結婚式の間も、休憩を少しすれば、帰らずに、全部楽しめそうです。
お迎えに行ったときに、ご祖母様の質問に答えられるようにと、お嫁様が、メモに書いて、当日のお着替えのセットの中へ、準備してくださいました。
今日は、どこへ、いつ、だれの・・どうして行くのか・・・。
出発前に、ご不安になる方は多いので、このお心配りはとても助かります。
結婚式の当日
ご親戚の皆さんが、やさしくご祖母様に声をかけてくれ、笑顔であふれていました。ご祖母様は、声をかけられても、誰だか思い出すのが難しそうでした。
でも、お祖母様自身は、とても面倒見の良い方だったようで、皆様がご存知でした。たくさんのゲストの方々が、「面倒見てもらった。お世話になった。」と感謝を述べていきました。
昔は学生さんを下宿させていたこともあったそうで、お祖母様も時折、当時を思い出され、「学生さんの成長を見るのが楽しみだった。」と教えてくれました。
新婦様も、そんなお祖母様の優しいお人柄を引き継がれているようで、ご招待のご友人様が本当に多い、素敵なご披露宴でした。
新婦様の父である息子様ご夫婦も、実はこの椿山荘で結婚式を挙げたとのことでした。その時は、ご祖母様は、新郎様の母として、この場に立っていたわけですから、感慨もひとしおだった、こと間違いありません。
親子二代に渡って、同じ場所で、御縁が結ばれていく瞬間・特別な瞬間に、たちあわせていただき、この上なく、温かい気持ちでいっぱいになったケアエスコートでした。
お身体の麻痺で車椅子のため、お着替え・お手洗いなどのご心配
16:00 お式場でお待ち合わせ |
介護タクシーでいらっしゃるお父様を、 私達はホテルの外でお待ちしていました。
1時間以上はかかるとのことで、 お疲れになられていないか心配でしたが、
車から降りてこられたお父様に、笑顔が見られ、ホッとしました。
お着替えの時間まではロビーで待機。
ご病気の後遺症で、言葉は上手く話せませんが、 頷いたり、身振り手振りで答えてくださいます。
「昨夜はよく眠れましたか?」
「車は順調でしたか?」など、
「イエス」「ノー」で答えられるようにお声掛け。
「お嬢様のドレス姿、楽しみですね!」と問いかけると、
わざと顔をしかめて、首を横に振ります。
でも、堪え切れず笑みがこぼれるお父様。
思わず私達が笑ってしまうと、お父様も、つられて笑っていらっしゃいました。
更衣室では、モーニングへのお着替えのお手伝い。
麻痺のない左手を使い、積極的に、ご自分でお着替えされるので、
それを遮らぬ様、お1人では難しい所をサポートするようにしました。
ご親族控室にご案内すると、 車椅子をご自分で動かしながら、
ご家族様のお近くに行ったり、お孫様と遊んだり、 終始ニコニコ、とても嬉しそう!!
間もなく、新郎新婦様が控え室へ入ってこられると、 少し緊張された表情のお父様。
でも、お嬢様を見つめる目はとてもやさしくて、 言葉には出来ないけれど、
「綺麗だよ。」と言っているように私には思えました。
挙式前に、一度お手洗いへご案内。
麻痺のある右側に倒れてしまわないように、意識してお身体を支えます。
ネクタイや髪の毛を整えてからチャペルへ。
少し段差があります。
当日は、式場のスタッフ様がスロープを出して下さったので、 スムーズに移動する事が出来ました。
夜のお式でしたので、周りはすっかり暗くなっていましたが、
足もとの灯りや、チャペル内の灯りで、とても幻想的な雰囲気。
バージンロードを通り、一番前のお席へご案内。
私たちは一番後ろの席に座ってお見守りします。
バージンロードを、新郎新婦様が、お2人で歩かれました。
ご参列のゲストの方々から、笑いが起きるくらい、幸せ一杯のお2人の姿が、
会場を一気にあたたかくしてくれました。
お父様の気持ちを想像した時、 「やっぱり少しさみしい気持になるのかな・・」と思いました。
でも、「良いお式でしたね」とお声掛けすると、 うん、と頷いて下さったお父様は、
とても幸せそうな、 満足そうな、お顔をされていました。
お式のみご出席のお父様は、 ご披露宴に出席される皆さまに、ご挨拶して退室。
お着替え後、少し軽食を召し上がって頂き、
お薬をお飲み頂いてから、介護タクシーへご案内しました。
閉めた窓ガラスから、 こちらに向かってお父様が手を振って下さっているのが見えたので、
私達も力一杯手を振ってお見送りしました。
お身体の麻痺で車椅子のため、お着替え・お手洗いやお食事などのご心配
8:30 ホテルのお部屋でお仕度 |
ホテルのお部屋でお着換え、メイクをしてから、
車椅子にお乗り頂きホテル内の美容室へ。
足が車椅子の足置きにきちんと乗っているか、 終始確認しながら移動。
キラキラの鏡の前にご案内されると、
「なんや、私が主役みたいやな~」と周りを笑わせて下さいます。
ヘアセットが終わるまで私たちはロビーで待機。
時折、お祖母様と美容師さんが談笑されている声が聞こえてきました。
ヘアセット後、挙式までまだお時間もあったので、 車椅子用のお手洗いにご案内してから再度お部屋へ。
素敵に変身されたお祖母様の姿を見て、 「おー、いいじゃない!」「すごく似合ってる!」
などご家族様に声を掛けられ、 お祖母様も嬉しそうです。
お時間が来たので控室からチャペルへご移動。
ホテルの床は絨毯なので、車椅子のタイヤが沈まない様に、
ゆっくり少し力を入れながら車椅子を押しました。
チャペル内は式場スタッフ様のご誘導のもと、
バージンロードを通らせて頂き一番前のお席へ。
「私たちは一番後ろで見ていますね」とお声掛けすると、
お祖母様の目にはすでに涙が溢れていました。
お孫様を想うお祖母様の気持ちが私達には伝わってきて、
そっとハンカチをお渡ししました。
時折ハンカチで目元を押さえられて、 そのたびに私達も胸が熱くなりました。
お式後、ご披露宴前に一度お手洗いへご案内。
とても気を遣われるお祖母様なので、お食事はご家族様がお手伝いされ、
私たちは車椅子の向きを変えたり、
演出の際前の方へご案内したりなどお手伝いさせて頂きました。
ご披露宴も半ば、新婦様のお色直しのお時間、
中座のエスコートに選ばれたのは新婦様の妹様お2人と、お祖母様!
「え!!?私!!?」と、
とてもビックリされた表情の中にも嬉しさを隠し切れない笑顔もあり、
その時の表情がなんとも何とも言えず、 周りのご家族も私達スタッフも笑ってしまいました。
スポットライトを浴びながら車椅子を押され、
新婦様をエスコートされるお祖母様。
とても堂々と、時々新婦様の事を誇らしげに見つめながら進まれました。
途中、お祖母様が新婦様からプレゼントされた花束を高々と上にあげると、
ご家族の皆様が立ち上ってお祖母様のお名前を手拍子付きでコール。
会場内があたたかい笑いと明るさに包まれました。
終始楽しそうで明るいお祖母様でしたが、
お開き後お部屋に向かっている時、
「行かない方が良かったんじゃないかって思ったけど、、 今日はありがとう」
と突然のお言葉。
胸が熱くなってすぐには言葉を返せなかったけれど、
幸せな一日を過ごさせていただいた、
私たちの方こそこそありがとうございます、
と心の中で強く思っていました。
足がお悪いので歩くのが大変、ご家族も忙しく常にお世話ができない
(前日は宿泊先のお部屋でお泊りのお手伝い) 8:00 お仕度、チェックアウトの準備 |
朝、お部屋のカーテンを開け光を入れると「おはよう」と起きて下さいました。
ホテルのお部屋のお手洗いや洗面所は、
使い方が分かりにくい場合が多いのでお側でお手伝い。
朝食を召し上がって頂き、お薬をお飲み頂いてからお仕度開始。
「なんだかすでに楽しくて! いい思い出だわ!」 と、とても楽しそうにされていました。
普段は杖を使ってお歩きになるお祖母様ですが、
1日ご移動が多いので、ホテルの車椅子をお借りしお乗り頂きました。
お控室では、ドアの外から声がするたびに
「○○ちゃんかしら??」 と新婦様のご登場を楽しみにされていました。
白無垢姿の新婦様がお控室に入ってこられたので、 車椅子を押して新婦様のお近くにご案内。
「とっても綺麗よ~!!」と新婦様の耳元で仰ったお祖母様は、 本当に嬉しそう!!
お打合せでお会いした時、お祖母様の事を心配されていた新婦様も、
お祖母様のお顔をみてホッとされたご様子。
お式を前に緊張されていた表情が穏やかになられたように感じました。
挙式会場の神殿へは車椅子のままご案内。
八脚案(机)を動かしてくださったので、そのままお席へご案内出来ました。
儀式中は立ったり座ったりがありますが、
お祖母様には「そのまま座っていて大丈夫ですよ」とお伝えし、
私達スタッフはお祖母様の後ろの椅子へ。
親族盃の儀の際、 お神酒を召し上がる時に手を添えるなどお手伝いさせて頂ながら、
私達もご家族と一緒に厳かな神殿での儀式に立ち合わさせて頂きました。
挙式後は庭園でのお写真撮影。
緩やかな下り坂を車椅子で後ろ向きにゆっくりと降りていきます。
まだ暑さの残る日だったので、一足先にご披露宴会場の料亭へ。
玄関にはスロープをご用意して下さったので車椅子のまま中へご案内。
皆様が来られる前にお手洗いへご案内してからご披露宴のお部屋へ。
ご披露宴のお部屋では車椅子を降りて頂き、 会場の椅子へお移り頂きました。
ゆったりとご家族でお食事を楽しむ時間でしたので、
お手洗いのお声がけ以外はそっとお見守りしていました。
時折新婦様の方を愛おしそうにご覧になるお祖母様の横顔を、
私達も幸せな気持ちで見つめていまいした。
翌日、新婦様のお母様より
「私も自分の事で忙しくて、とても緊張もしていたから、
二日間母の事をお手伝い頂いて本当に助かりました!!
母もとても良くしてもらった、と喜んでいましたよ!」と、
大変ありがたく、嬉しいお言葉を頂戴いたしました。
皆様にとっての大切な日にお役に立つ事が出来たという事は、
私達には何よりの喜びなんだと、あらためて実感しています。
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